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紙の月 (2014)

監督
吉田大八
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4.01 / 評価:5350件

「ありがち」なストーリーを映画に昇華

  • xeno_tofu さん
  • 2021年7月22日 22時48分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作未読。NHKドラマ版をチラ見した程度。

「八日目の蝉」同様、角田光代原作でドラマが先行して映像化。評判の高さは知っていて、いつか見なければと思っていたが、鑑賞にかなりのエネルギーを要する作品と思い、なかなか手が伸びないでいた。

そうこうしていて、ようやくタイミングを得て鑑賞した。いや、もう公開から7年も!これも驚きだったが、作品は、これまでにない魅力を放つ。

若い男に入れ込んで横領を繰り返す女という、ある種ストーリーとしては「ありがち」で、その卑近さは安っぽさに収まると思いきや、しっかりと映像世界が構築されていた。

梅澤梨花を演じる宮沢りえは、序盤こそ冴えない雰囲気をまといながら、物語が進むにつれ色気をまとう。しかも、その色気も梨花にとってはメッキというか、「偽物」すぎないことまで自然に演じられている。ここは驚く隙すら与えてくれない。

その入れ込む若い男、光太を演じるのは池松壮亮。公開前後、濡れ場を演じる若手俳優といえば彼というくらい、色気のある男を演じていた。いわゆるダメ男が、イラッとしないうまい塩梅で表現されていた。

何と言っても、最大の見どころは、最後の梨花と小林聡美の隅さんの対峙。互いに徹夜さえしない、いや、そういう発想すらなかった真面目な生き方をしていて、何を道を違えたのかー。自由を履き違えたことを隅は指摘し反論するのだが、それは梨花の放つ「一緒に来ますか」で、ぶち壊していく。必死に走り逃げる姿は、呆気にとられるばかりだった。

確かテレビドラマ版は、事が起こってから後から振り返る形で真相を明らかにしていく流れだったはず。映画は、中学時代のエピソードが差し込まれるものの、事の顛末が時系列に説明されていく。だが、単純な作品に収まらない。こうした痺れる作品があるから、映画鑑賞は止められない。そう思わせてくれる映画だった。

追記 配役に無駄がないのが、これも驚き。特に石橋蓮司は嫌味な役かと思いきや、最後の最後で主人公を揺さぶる、実はいい人ポジション。いい味出してました!!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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