レビュー一覧に戻る
シー・サバイバー

くそげーまにあ

3.0

ネタバレロシア映画の可能性を感じるアメリカ的作品

 ソマリアの海賊とロシア海兵隊員、特殊部隊「スペツナヅ」の対決を描いたアクション。「海賊を生んだ遠因はアメリカにある」という告発があるのが常ですが、ロシア映画だからそれがない。積極的に廃棄物投棄を行って海洋汚染で漁民を飢えさせ海賊に変えた張本人がアメリカである一方、社会主義時代のソマリアは安定していたという自負があるのかも。(ロシアに全く責任がないわけじゃないでしょうが) 内容は2010年に発生したロシアタンカー「モスコフスキー・ウニヴェルシテート(モスクワ・ユニバーシティ)」の占拠事件がモデル。    ソマリア海沖でイスラム系アフリカンの海賊に乗っ取られたガスタンカー「ヤマル」。海賊は「2日以内に2000万ドル」を要求。ロシア海軍は特殊部隊によるタンカー強襲を立案する。初動で海賊と接触した際、船から転落した海兵隊員「サーシャ」が船内に拉致されたと報告を受けた海軍は彼と接触しようとするが…。  原題は「22分」。要した海軍の作戦行動時間を表し、演習では31分もかかり成功が危ぶまれたのに、なぜそんな短時間で決着したか?という裏舞台を描くのが面白い。邦題ではそれが伝わらない。タイトルで伝える努力をしろ!  あっという間にボートで近づき、鍵爪付きロープで這い上がる海賊にあっさりと占拠されるタンカー。船員たちは急いで機関室に立てこもる。どうやって占拠したかの詳細は一切がありません。本作はこういう思い切った編集が特徴で、省略が上手いような乱暴なような。イーストウッド作品でも大胆な省略は見られますが雑さは感じないので、シーンが再開する時の描写に工夫がないせいでしょう。  一方、手紙を読んで泣いてるサーシャ。別れた恋人が結婚するのという内容。しかも、別れた理由は女友達とじゃれているのを誤解されたという…。うーむ。ロシア人って浮気性と聞くからそれくらいで?と思う一方、浮気性だから油断できないのカモ。そんな残念なサーシャは船から落ちて漂流中、海賊に助けられて拉致と、さらに残念。甲板上に監禁され、監視役として「カラーシ」という若者をつけられる。気の良いカラーシとサーシャは打ち解けてゆく。カラーシという名前は「カラシニコフ小銃」(量産が簡単かつ高性能なために犯罪者やテロリストがコピー品を作りまくり、本物が倒産したロシア銃)からつけたというもの。会話を交わすうちカラーシは自分はミュージシャンで禁止されている音楽が好きなのだと告白。イスラムにおいて音楽は宗教的なものである一方、基本的には寛容の精神でそれ以外も認めているのですが、開祖ムハンマドがある時「音楽を耳をふさいで聞かなかった」という表記を根拠に禁止する原理主義者も存在します。この海賊たちは原理主義者であり、色々な行為が禁止されていて、リーダーである「アミン」はそれを破ったものを容赦なく殺し、カラーシの兄であるコックも酒を飲んだために制裁を受け海に放り込まれ、鮫に食い殺されます。それを切欠にカラーシの中の不満と疑惑は爆発。一方で強行突入作戦の準備を進める特殊部隊と機関室に立てこもる船員たち、そして、カラーシの見張りのスキをついて、船外にぶら下がり発炎筒で海軍へと連絡を試みるサーシャ。発見した海軍は探照灯で「突入6時」と返事をする。海賊、ロシア艦見張ってないのかよ! サーシャは船員たちの説得をさせられるが、説得するフリをしてロシア語で突入作戦遂行中であることを伝える。カラーシは辞書片手に「シュトゥルム(突撃)と言わなかったか?」と疑念を持つが「いや、嵐のことだ。つづりが違う」とごまかす。  突入作戦が始まる数時間前、カラーシはサーシャを解放し、ロシア軍に投降したいと告白する。信用したサーシャはあと数時間で突入作戦が始まることを教え、カラーシは協力を約束するがアミンは朝にサーシャの処刑しろと命令。  ついに突入作戦が始まり、ガス爆発を危惧してナイフによる不意打ちで一人ずつ海賊を始末。スペツナヅと言えばナイフですし、ロシア軍全面協力なので本物の現役軍人が演じているのかも。地味ですが迫力がありリアルです。カメラワークがイマイチなのと、刃が飛ぶスペツナヅイフはなくて残念。だが、全員が乗り込む前にカラーシがサーシャの代わりに制御室を占拠。高らかに兄を賞賛しアミンをディスるラップを英語で唄いながら海賊たちに応戦。勘違いした船員たちは支援になぜかエンジンを始動。おかげで特殊部隊の乗り込みが困難になる。サーシャは処刑をなぜかあっさり切り抜け、アミンが仕掛けた爆弾の解除に向かう。  海賊たちは鎮圧されるがカラーシは殺され、海賊たちは国際法に従い解放。許せないサーシャはボートの飲料水に爆薬を仕掛けて海賊を皆殺しに。英雄となった彼に別れた恋人は惚れ直して…。  反イスラムでロシアびいき、ラストはおいおいですがアメリカの質の高いアクションありのTVドラマシリーズのような良作です。

閲覧数1,457