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おやすみなさいを言いたくて
2014年12月13日公開

おやすみなさいを言いたくて

TUSEN GANGER GOD NATT/1,000 TIMES GOOD NIGHT

1182014年12月13日公開

goo********

5.0

ネタバレ両方ほしかったのに

全体を通して同じようなテーマを扱うハリウッド映画よりも「大人な」描写(ことさらスプラッタを強調しないとか(映っても一瞬))が印象に残ります。 レビュータイトルはジュリエット・ビノシュ演じるレベッカの次女が、請うた猫(候補二匹)のうち一匹を選べと言われて漏らした言葉(字幕)ですが、これメタファーだと思うんですね。 レベッカが命を危険に晒してまで行う戦場カメラマンという仕事と、家庭の両立。 許しを請うレベッカに長女が浴びせる、彼女の一眼レフによる“シャッター音の銃撃”には胸を締め付けられました。 (余談ながらシャッターを切るのも銃の発砲も、英語では同じくSHOOT) 最終的に家族に一応認められた形で、レベッカは再び紛争の地にカメラを携え立ちますが、理解を得たというより、(少なくとも夫は)諦めたというほうが正しいでしょう。 私だって戦争や紛争が無くなってほしいとは思いますし、ささやかながら具体的な行動も取ってはいますが、自身の生活を犠牲にしてまでと言われれば全くそんなレベルでははない。 誰かがやらねばならないその仕事を、運命に“割り振られた”者は決して多くはない。 理想的には(?)、レベッカのように心配をさせる家族を持つ人間がやるべきことではないんでしょうが、“担当者”がそうとは限らない。 私は、世のため人のためになる行動の“担当者”が、必ずしも聖人君子・人格者である必要はないと思っています。 (かのスティーブ・ジョブズだって、ご存知のとおり相当な偏屈者) 動機が「生き甲斐」だろうが「自己顕示欲」だろうが何だろうが、(ネットに蔓延る口だけ番長とは違い)“実際に行動”し、世の中をほんの少しでもよい方向に動かそうとしたり、誰かを(物理的にのみならず精神的な面でも)救おうとか勇気を与えようとしたりする者に、私を含む傍観者がどの口を挟めるのか。 夫との間に深い溝をつくることになったレベッカの仕事は、少なくとも難民キャンプの治安を、僅かではあるかもしれませんが、一時的であるかもしれませんが向上させました。 百年先とは言わないまでも、いつか人の幼い意識がもっと進化し、戦場ジャーナリストという仕事が必要とされなくなる日が来ることを願って、ここに小さな種(レビュー)をひとつぶ蒔いておきます。

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