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ミリオンダラー・アーム
2014年10月4日公開

ミリオンダラー・アーム

MILLION DOLLAR ARM

1242014年10月4日公開

yus********

3.0

ネタバレ感動はしたけど…鈍重かなぁ。

クレイグ・ギレスピー監督、ディズニーによる、実際にあったエージェントとインド人初のメジャーリーガー2人のお話。 今までに劇場、DVD通して5回ほど観賞しています。 初見から今までの変わらない感想としては…間延び感が所々にあるのが残念なところかなぁ。 いや、ほぼノンフィクションであるという構成上、勿論ストーリー上ここをこうすれば良いのにとか、あそこはそうじゃないでしょということはありませんが、どうしたって数年の間に起こった出来事という点を鑑みても、124分という上映時間は長いかな。 同じ「メジャーリーグに関するノンフィクション」としては「マネーボール」や「42 世界を変えた男」などが著名ですが、そうしたいち人物の半生や生涯を描いた作品に比べるとやや弱いというか。 ディズニー資本の作品ということで、モラル面の描写などが例のごとくガチガチに描写されているかと思いきや、意外にセックスの話等が入るなど、多少は攻めていた部分が見られたことは評価できると思います。 ただ、「恐らく」という域を脱しないにしろ、現実にあったであろう困難を描ききれていないのではないかということも感じました。 …例えば、それまでいなかったインド人がメジャーリーガーを目指すにあたって、言語や人種差別的な問題は0ではなかったと思うんですが、劇中そのような描写は特にありませんでした。生活様式の違いに戸惑う場面などはありましたが。 前半はアミトという人物が英語とヒンディー語の通訳として登場するので、米国人とディネシュ、リンクのコンビとの会話は彼を通してされるのですが、特にこれといった契機なしに中盤からごく普通に彼らが米国人たちと英語でコミュニケーションをとれていたり。 現実にはディネシュとリンクはアメリカの大学で野球に打ち込む半面、英語の勉強も行っていたそうなので、後述する主人公、バーンスタインのああだこうだの間延びを考えると、もっと彼らの成長に時間を費やしても良かったのでは…と感じます。メジャーリーガーになる、入団というところをゴールにしてしまっているだけに。 あとは、バーンスタインの「ビジネス優先から考えを改める描写」が大きく分けて二度描かれるため、最初の場面が霞むというか、「さっき考え改めたんじゃなかったっけ」となる物語の流れになってしまってる気がするんですね。 具体的には、「ポポ・バヌアツとの契約が果たせずインド人青年たちを蔑ろに扱う」「大々的に行った入団テストが失敗に終わり、再度彼らを"商品"としか見ていなかったことに気付く」という二つのシーンがあるわけですが、どちらも共通して「ビジネス優先主義からくる失敗」、という描写がされるために、同じ失敗を重ねて犯してしまっているように見え、ストーリーとしてのテンポが鈍重になってしまっているように感じました。 リンクとディネシュが師事する大学野球部のコーチ、トム・ハウスなども「変わり者、実力者、心理学も心得ているのでそういう面からの助言も行う」といった以上の説明が成されず(役者の芝居による深みはあるにせよ)、具体的な野球の技術指導やリンク、ディネシュとの関わりが素直に少なかったという印象です。 野球のステップアップの描写が少ないということが、直結して「コンテストで認められる→アメリカに行く→野球の練習→入団テスト失敗→再度頑張る→メジャーリーガーに」と、彼らの辿った道程が簡略化されてしまっているんですよね。だからいきなり英語を話せるようになったり、130kmの球速がいつの間にか150kmになってしまったように見える。 いちいち練習や特訓のシーンを入れれば…という話でも無いですが、大きく時間を割いて描かれるのが先述したバーンスタインの人間としての成長であるため、それこそリンクとディネシュに愛が込められていない印象を受けるというか、間延びをしてしまっているという気がしてなりません。 実はこの話、フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」でも再現ドラマ化されているんですが、見比べてみた時、TVバラエティと世界資本の劇映画という差はあるにしろ、私個人としてはアンビリバボーの30分の再現ドラマの方がスッキリ纏まっているかな、と思いました。 要点をしっかり押さえているというか、やっぱり最低限の時間の中で最大限に伝えるべきことを伝えられているなぁという感想を持ちましたし、本作はそれと反対に124分という上映時間を上手く活用しきれていたとは思えなかったので。 現実には、JBバーンスタインは最初はビジネスチャンスとしてリンクとディネシュの二人と接していたのが、後に彼らと信頼を築いていくという流れですが、本作に於いては、ディズニーが彼ら三人を大きなビジネスチャンスとして「商品」として取り扱っていたのかな、という印象を受けてしまったのが残念でした。

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