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さよなら歌舞伎町 (2014)

監督
廣木隆一
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3.23 / 評価:879件

解説

新宿・歌舞伎町のラブホテルを舞台に、身も心もむき出しになった男女5組の人生が複雑に絡み合う群像劇。『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』に続き、廣木隆一監督と脚本家・荒井晴彦が3度目のタッグを組む。物語の軸となる倦怠(けんたい)期の同居カップルには、『ヒミズ』などの染谷将太と、『もらとりあむタマ子』などの前田敦子。さらに南果歩、松重豊、大森南朋、村上淳、忍成修吾、田口トモロヲといった個性派が脇を固める。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

一流ホテル勤めと周囲に偽りラブホテルの店長をしている徹(染谷将太)は、ミュージシャンを夢見る同居中の恋人・沙耶(前田敦子)との関係が倦怠(けんたい)期になりかけていた。歌舞伎町にあるラブホテルに出勤し多忙な1日が始まるが、ホテルでは家出少女(我妻三輪子)と来店した風俗スカウトマン(忍成修吾)、時効を間近に控え男(松重豊)と潜伏生活を送るホテルの清掃人(南果歩)など、年齢も職業もさまざまな男女の人生が交錯し……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2014「さよなら歌舞伎町」製作委員会
(C)2014「さよなら歌舞伎町」製作委員会

「さよなら歌舞伎町」歌舞伎町のラブホテルでの1日を舞台に人々の哀歓を謳う群像劇

 新宿歌舞伎町のラブホテルを舞台に5組のカップルの1日を描く群像劇である。冒頭で、ミュージシャン志望の前田敦子が同棲相手の染谷将太に大胆にも「ねえ、しよう」とせがむ。思わず微苦笑してしまうが、ハードな絡みのシーンはなく、すぐさま二人乗りの自転車で駅に向かう。まるで初々しい青春映画のようなプロローグだ。脚本の荒井晴彦は、かつてロバート・アルトマンの群像劇の傑作「ナッシュビル」を下敷きに「リボルバー」(藤田敏八監督)を手がけたが、今回は同じアルトマンの風俗画のタペストリー「ショート・カッツ」のラブホテル版を意識したかのようだ。

 染谷扮するラブホテルの店長を狂言回しに、時効が直前に迫っている逃亡犯の中年カップル、風俗スカウトマンと家出少女、韓国人の風俗嬢とその恋人、不倫の刑事カップルの断片的なエピソードが交錯し、微妙に絡み合う。染谷が東北の被災地出身で撮影中にAⅤ女優のバイトをしている妹と遭遇するくだりほか、偶然にしてもいささか出来過ぎかと思える挿話が臆面もなく連鎖する。だが、監督の廣木隆一も、あえてメロドラマ的な定石の語り口を踏むことで、かつてない変貌を遂げつつある歌舞伎町の〈現在〉をアクチュアルな映像に焼き付けようと試みたのだろう。大久保のヘイトスピーチ集団を活写したシーンにそれは顕著で、とりわけデリヘル嬢イ・ウンウのやるせない浮遊感が強く印象に残る。彼女のエピソードには往年の日活ロマンポルノを彷彿させる濃厚で激しい性愛のドラマの手触りが感じられる。

 どこか猥雑(わいざつ)さが消去された〈グランド・ホテル形式〉の群像劇は、あたかもオー・ヘンリーの掌編のように都市生活者の哀歓を謳いあげるエンディングを迎える。荒井+廣木コンビは、辛辣でアイロニカルな視点を封印し、よるべない、傷ついた者たちを、ささやかに肯定し、祝福することで、円熟した職人の手腕をたっぷりと披瀝(ひれき)している。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2015年1月22日 更新

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