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3.0点
出演作すべてに主役を喰うほどの存在感で名脇役として名を馳せた名優フィリップ・シーモア・ホフマン。奇しくも主役を張っている本作が彼の遺作になってしまったのは運命の巡り合わせか。 スパイ物ではあるが、ハラハラするような派手さが皆無で、終始じっくりドラマを語る展開は、見目は地味でも噛めば噛むほどの味わいを魅せた彼のキャリアを象徴するかのような内容になっている。 弔い目線で忖度したいところだが、極限までエンタメ度を削ぎ落としたシリアスなストーリーに乗り切れず、ほとんど面白さを感じなかったのはホフマンのせいではなく監督の責任だ。 ストーリーはリアルなのに、ドイツ人役のホフマンだけでなく、トルコ人移民やチェチェン人亡命者まで登場人物全員が英語を話していることにリアルさがなく、それも話に乗り切れなかった要素のひとつ。世界が舞台のスパイ物は難しい。 それにしてもホフマン。実際はかなりのジャンキーだったようで、ヘロインのオーバードーズという死因のブラックさが汚名を残した点はあるが、映画界にとって計り知れない損失なのは間違いない。 役者としては役の替えが効かないと思わせた最高の実力者だった。改めて合掌…
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