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6才のボクが、大人になるまで。 (2014)

BOYHOOD

監督
リチャード・リンクレイター
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3.67 / 評価:1710件

解説

『ビフォア』シリーズなどのリチャード・リンクレイター監督がメガホンを取り、6歳の少年とその家族の12年にわたる軌跡をつづった人間ドラマ。主人公を演じた新星エラー・コルトレーンをはじめ、主要人物4人を同じ俳優が12年間演じ、それぞれの変遷の歴史を映し出す。主人公の母をパトリシア・アークエット、母と離婚しアラスカに行ってしまった父をイーサン・ホークが熱演。お互いに変化や成長を遂げた家族の喜怒哀楽を刻み付けた壮大な歴史に息をのむ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに突然現れ……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.
(C)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.

「6才のボクが、大人になるまで。」少年とその家族に訪れる“時間”をとらえ、心震わせる体験映画

 映画はただ見るものではなく、体験するもの。いい映画であればあるほどそう思えるものだ。そういう意味でも、「6才のボクが、大人になるまで。」は驚くべき映画である。これほど豊かな、しかもパーソナルな“体験”を実感させてくれる映画はこれまで見たことがない。

 映画はそのまんますぎる邦題のとおり、1人の少年の12年にわたる成長を写しとっている(原題は「Boyhood」=少年時代)。ドキュメンタリーではなくドラマだが、画期的かつ奇跡的なのはこれが実際に12年の月日をかけて(毎年数日ずつ)撮影されているということ! オーディションで白羽の矢を立てた少年エラー・コルトレーンがメイソンというキャラクターを演じ、そこには当然、エラー自身の成長やキャラクターが反映されている。12年後にどうなるかなんて、撮り始めたときにはわからない。ああ、こんなにリスクだらけの賭けに出るなんて、リチャード・リンクレイターはなんて勇敢なクリエーターなんだろう。

 2時間40分の間、ことさらドラマティックな出来事が起こるわけではない。なぜなら、映画の主役は“時間”そのものだからだ。「ビフォア」三部作でも人間にとっての“時間”と向き合ったリンクレイターが、それを1本の映画でやってのけている。離婚した両親に振り回されて理不尽な思いをしたり、喪失や孤独、初恋といった感情を知っていくメイソン。そのささやかな瞬間瞬間の積み重ねが、見る者の心を震わせずにはおかないのだ。まるで自分のことのように体験する映画の時間は、またたく間に過ぎていく。1年ごとに変貌し、顔つきも心も精悍になっていく少年の姿に、美しくも残酷な“時”をリアルに感じながら。

 そしてこの映画は、少年の物語であると同時に家族の物語でもある。父親と母親、姉にも等しく時は流れているからだ。ひたすらガキっぽかった父は、父としてそれなりの成長を見せる。イーサン・ホークの味わいは絶品だ。一方でパトリシア・アークエットが終盤で吐露する母親の思いはものすごくせつなく、誰もが共感せずにはいられない。

 そして人生は続く。メイソン=エラーがつづる別の物語に、再び会える日が来ればうれしいと思う。(若林ゆり)

映画.com(外部リンク)

2014年11月6日 更新

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