3.0点
…火野正平の名前が見えたので観てみる。 …あらすじは解説のとおりだが、レビュー数は未だ6件のみだ。 よっぽど人目に付かない作品なのだろう。 岩田(火野正平)はギタリストの道を諦めて、マンションの管理人の仕事に就いていた。掃除や分別ゴミの処理、住民の苦情などにも丁寧に接し、淡々たる毎日を過ごしていた。しかし、眠りに陥ると、指は往年の栄華を忘れ難いのか、勝手に旋律を奏でていた。 この折に、物憂げなギターの音色が鳴り渡る。 そんなある日、マンションの住人の若い女性ユミ(桜木梨奈)がグデングデンに酔い痴れて帰って来たので、已む無く介抱してやる。 このユミはかなりエロくて、岩田に痴態を晒して誘惑しようとするのだが、岩田には全くその気はない。 ユミの職業はダンサーだったが、それだけでは喰っていけず、「パパ」と呼ぶ中年のオッサンからマンションの一室をあてがわれて愛人をしてた。 しかし、オッサンの奥さんにばれてマンションの一室を追い出されたユミは、岩田の管理人室に転がり込む。 とんだ迷惑だったが、一晩限りと釘を刺して置いてやることにする。 が、このユミは、双極性障害という病を患っていて、それが悪化の傾向にあり、やがては自我を失って果てるということを知る。 話しが長くなってきそうなので、先を急ごう。 二人は、ライブハウスを兼ねた喫茶店に入る。 そこにはギターが立て掛けられていたので、岩田は久し振りで爪弾いてみる。 流麗な指さばきにより、なんともスリリングな楽曲が繰り出されていく。 それに合わせてユミが優雅に舞い踊る。 店主は岩田の過去の栄光を知っていて、『蘇った天才ギタリスト』とかなんとかのライブを実行しようとするのだが、その店でウェートレスの仕事を始めたユミが、五月蠅い客どもにぶち切れちゃったもんだから、その店を追い出される。 で、店主から貰ったギターを岩田が弾き、それにユミの踊りがコラボして、ストーリート・ミュージシャンまがいのあてのない放浪の旅を続ける、といったストーリー。 途中の海辺で、ユミがサーファーのキン肉マンと情事に耽るシーンは不要と感じてしまったが、火野正平の奥目の底に漂う優しくて暖かい眼差しが素敵な、一見の価値はある作品だった。 岩田おじさん、ユミちゃんから『超元気!』と言われて良かったね。