IT業界のスパイ合戦…最後に勝つのは?
- morecambeandwise さん
- 2020年5月17日 2時39分
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原題のParanoiaからすると、誰が敵か味方かわからなくなって錯乱していく主人公、という心理スリラーかと思いましたが、もっとストレートな脅迫サスペンスでした。
IT大手のワイアット社に勤めながらなかなか芽が出ず、父親の肺病の治療費で首も回らないアダム、ワイアット社長を前にしてのプレゼンでよりによって社長の態度にキレてチャンスを棒に。その腹いせに社用カードで高級クラブで飲み食い。クラブで知り合った謎の美女と一夜を共にし、でも翌朝には知らん顔されて放り出されます。
その直後、社長含む幹部に呼び出され、ワイアットの前ボス・ゴダードの会社に再就職してスマホの最新モデルの内容を探るスパイになれと命じられます。いやなら刑務所と脅され、しぶしぶ引き受けることに。
ゴダード社の面接では、なんと例の謎の美女エマも同席。どうやら有能な広報担当らしい。ワイアットのいろんな入れ知恵でゴダードには気に入られた様子のアダム。少しずつ情報をワイアット側に流すけれども、その過程でエマと接近するけれど段々と気が咎めるように。
その頃、父の家にFBIが。どうやらワイアットが以前にスパイを命じたらしき人間は次々と死体になっているらしい。なにかやましいことをしているなら申告を、と問い詰められるけれど、その時は父親の手前虚勢を張って追い返します。
しかし、報告が遅いのにじれたハンドラーから脅迫まがいの催促が届き、徹底的にハッキングされていることに気づきアダムはパニックに。しかし言うことをいかないと友人たちを殺すと脅され、本社の試作モデルを盗みに。
エマの指紋と携帯を使ってうまく潜入して金庫の試作を手にしたと思ったのも束の間、ゴダードはすべて読んでいた。ワイアットとアダムのやりとりはすべて筒抜けだったと。
そこでアダムは仲間のケヴィンに相談に。そしてワイアットと直談判、やりとりはすべて記録されているから捕まりたくなかったらゴダードと交渉しろと。その過程でハンドラーの一人がゴダードと通じていたことも明らかに。
そしてゴダードの元に。三者会談、いきなり携帯を没収されてケヴィンは会話にアクセス不能に、しかし機転を利かせてゴダードの携帯に仕込んだスパイウェアで盗聴に成功。彼らの不正の証拠が押さえられたところでFBIが乗り込みゲームオーバー。アダムは協力が認められて不起訴に。
後日、自分の身の丈相応にやっていこうと、改めて仲間と一緒にベンキャー企業をブルックリンに立ち上げるアダム。そこにエマも訪れてメデタシメデタシ。
全体を通じては、一生警備員として過ごした父親のようにはなりたくない、というところで頑固なアダムが、虚勢を捨てて父親の生き方を認められるようになるまでの成長ものがたり、と言えなくもないですが、プロセスがプロセスなだけに、エンディングが悲惨でない「グッドフェローズ」、という感じがなくもないです。
序盤、アダムの能力の高さがあんまり感じられなくて、せめて口先のうまさか頭のよさか、情熱か、どれかは感じさせてほしいな、というのは残念なところ。エマに適当にあしらわれるところあたり、全然冴えないし、そもそもプレゼンしたかった新コンセプトが全然いけてないので、成功できないのが仕方ない、という感じがしてしまいました。次にスパイ行為を働くのも、やる気があるのかないのか、面白さを感じているのか、もう少しわからせてほしい。エマに気があるのだけはわかりましたが。
それでも、後半になって、逆転のためのしかけを思いついてからは少し面白かったですが、それまでの途中、たとえばFBIが来たときに、普通はもう白状した方がずっとうまくいく、と思いそうなものですが、なぜそこでは黙っていて、ワイアットとの直談判で不用意なことを口にして自らを厳しいところに追い込むのかわかりません。
ゲーリー・オールドマンは小悪党を演じるのはうまいですが、後半になるにつれてスケールダウンしたのは残念。その分ハリソン・フォードが得をするように設計されていたのですが。
アダム役はリアム・ヘムズワースといって、クリスの弟ですね。どうしても若いころのジョン・トラヴォルタという感じがしてしまいます。エマ役はアンバー・ハード、ジョニー・デップの元奥さんですが、わりにコメディー映画での役が多いようです。父親役のリチャード・ドレイファス、さすがにお年を召した印象ですが、まだ元気ですね。
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