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マダム・マロリーと魔法のスパイス (2014)

THE HUNDRED-FOOT JOURNEY

監督
ラッセ・ハルストレム
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  • みたログ 860

3.96 / 評価:573件

たかが100フィート、されど100フィート

  • とみいじょん さん
  • 4級
  • 2019年3月28日 0時44分
  • 閲覧数 389
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ご近所問題。厄介なことこの上ない。
 やれ、足音がうるさいと下の家主から文句を言われ、蛍族の煙がと顔をしかめる。木の枝がはみ出してきていると注意を受けて、窓を開ければ隣の家の中が見えるからと、カーテン締め切りの窓。
 同じ日本人同士だって、こうなのだ。
 だったら、自国の文化に絶対の自信を持っていて、自国のやり方を変えない異文化の民ならば、どうなるのか。
 ましてや商売敵。老舗と新参者。ワインの繊細な味・香りを楽しもうと思ったら、インドのスパイスの香り。その二つが融合したホットワインは美味しいが、それはそれ、これはこれ。
 ミシュランの星は、料理の味だけの評価ではない。そりゃ、マダムが神経とがらすよね。そんなミシュランの星なんてなんだというパパ。

そんな、意に添わぬご近所問題・移民問題をベースにした物語。
 ここを大切に味わいたいと思うと、原題のままにしておいて欲しかった。
 まあ、ミレンさんが出演なさる『…魔法のスパイス』という邦題に惹かれて鑑賞したのだから、邦題をつけた人々の策略にまんまとはまった私だけれど。

移民問題をベースにした話と書くと、堅苦しく難しい、目を背けたい現実を見せつけられてしまうように見えるし、
物語も粗筋を書いてしまえば良くある話。

けれど、本作は、土や木々の香りのするおしゃれな映画。

 南仏の景色や、パリの夜景と、うっとりとする映像。
 料理も、料理そのものよりも、素材の瑞々しさに虜になる。

 素材を切る包丁の音でも魅せてくれるし、インド音楽と言い、ダンス音楽と言い、音のセンスが抜群。

そして、何より役者の力で見せてくれる。

特に、マダムマロリーとパパが良い。
 ミレンさんの一挙一動は今更書く必要はないが、大人の責任の取り方とか、大人の恋ってこうするのねという見本までも見せてくれる。
 対するパパ。頑固親父で心配になっちゃうけれど、目が離せない。
 お互いの足の引っ張り合いもベタなんだけれど、この二人だと目が離せなくなる。それが、ある事件を通して、お互いが少し近づいていく様が、笑いを取りながらも、なんともロマンティック。おしゃれ。

対して若い二人は、初めはとんとん拍子に行くが、途中からの展開が胸かきむしられる。「おい、ハッサン、彼女の気持ちに気づけ」と肩を小突きたくなる。

そして、市長とその夫人や、ハッサンの兄弟とかも良いスパイスを効かせてくれる。特に、マダムとパパに振り回されてうんざりする市長と、まったくどこ吹く風のその夫人は出番が少ないながらも、登場されていなかったら面白さが半減する。

物語は、老若二つのエピソードが、ちょっとずれて縒り合されて、後半面白さが失速する。
 料理って、自分の居場所って?ということを言いたかったのだろうけれど。
 移民問題≠異文化融合という現実。移民であるインド文化とフランス文化が融合して新しいものを生み出すのではなく、あくまで、土台であるフランス文化に”認められる”という構図。
 そして、今作を鑑賞したころは、ちょっと行き過ぎ、現実的でなく誇張したエピソードだと思っていた、マダムのレストランのシェフの行い。今年になってから実際にあったデモとかテロとかをみると、現実的にはあり得るのではと思ってしまう。普通の人の普通の行い。そう思って見返すと、マダムの表情が胸に迫ってくる。

と、メルヘン的な展開の中に盛り込まれた現実。
 メルヘンの中のダークはメルヘンの質を高めるけれど、この映画の中では、胸につかえた異物のようで、甘味の中の塩味・スパイスになっていない。
 役者の力で、見せ切ってくれるけれど、違和感が悪い雑味が後をひく。

原題の映画なら、パリなど持ち出さないで、あくまで両家の付き合い方に徹してほしかったな。
 この原題には、ハッサンとマルグリットの距離も含まれているのだろうか?ならば、パリに行ってからの二人の心模様をもっと丁寧に描いて欲しかったな。ハッサンの方ばかりではなく、マルグリットの方も併記してほしかった。それに、マダムとパパがどう絡むかも。
 そこまで盛り込むと、長くなるから割愛したのかもしれないけれど、編集次第で何とかなったのではと、惜しい気がする。

おしゃれで、心地の良い映画。
「どう?」と聞かれれば、「いいよ」と答える。
付き合いの浅い人たちとのパーティなんかで流すといいかも。


(原作未読)

詳細評価

物語
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