ここから本文です

はじまりのうた (2013)

BEGIN AGAIN

監督
ジョン・カーニー
  • みたいムービー 910
  • みたログ 3,680

4.16 / 評価:2,803件

解説

第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞した『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督が、同作に続いて音楽をテーマにして放つヒューマンドラマ。恋人に裏切られた失意を抱えながらバーで歌っていた女性が、音楽プロデューサーを名乗る男との出会いを通して思わぬ運命をたどる。主演は『つぐない』、『プライドと偏見』などのキーラ・ナイトレイと『キッズ・オールライト』などのマーク・ラファロ。キーラが披露する歌声や舞台となるニューヨークの街並みや、人気バンド・Maroon 5のアダム・レヴィーンの出演も見どころ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ミュージシャンの恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と共作した曲が映画の主題歌に採用されたのを機に、彼とニューヨークで暮らすことにしたグレタ(キーラ・ナイトレイ)。瞬く間にデイヴはスターとなり、二人の関係の歯車に狂いが生じ始め、さらにデイヴの浮気が発覚。部屋を飛び出したグレタは旧友の売れないミュージシャンの家に居候し、彼の勧めでこぢんまりとしたバーで歌うことに。歌い終わると、音楽プロデューサーを名乗るダン(マーク・ラファロ)にアルバムを作ろうと持ち掛けられるが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED
(C)2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED

「はじまりのうた」夢みるよりも今を見つめ、一歩を踏み出すことで生まれる音楽と奇跡

 最悪の状況を一気に人生最大のチャンスへと変えるマジック。映画がわたしたちに見せてくれるのはそんなあり得ない力なのだが、しかしそれを起こすのは奇跡でもマジックでもない。知恵と経験と勇気こそがその元にあるのだと、この映画が教えてくれる。現在は家族を失い一文無しの元グラミー賞受賞プロデューサーと、チャンスを求めてイギリスからNYに渡ったものの恋人と別れ、もはや故郷に戻るしかないと思い詰めた失意の女性ミュージシャンとの物語。

 そこで描かれるのは「夢」ではなく「愛」である。何かを目指すのではなく、ただひたすら今の自分を見つめ、周りを見つめ、友人たちと生きる。そこからしか生まれない何か。幽かな希望の光と言ってもいいそれを受け取る、しなやかで大らかで繊細な心を保ち続けること。明日を夢見るのではなく、今この時の光を感じること。ベロベロの酔っぱらいでも目と耳は確か。それが受け取った何かをすっとつかみ、一歩を踏み出す勇気があれば、あとはどうにかなる。

 スタジオを借りる金がなければ外で録音すればいい。街の音、ざわめき、風のそよぎ、人々の声。すべてが音楽の一部になる。知人、友人、家族といった人生の仲間たちや、PCやツイッターなどの最新テクノロジー。それまではバラバラに存在するだけだった小さな音や小さな力が集まり、1枚のアルバムが出来上がる。未だ聴こえぬ音楽に耳を澄ます勇気と、そこに思わず踏み出してしまった一歩が、小さな力を集めたのだ。主人公、キーラ・ナイトレイ本人が歌う、どこか素人っぽい少し強ばった歌声も、一方、恋人役で本職の歌手であるアダム・レビーン(マルーン5)の余裕の歌声も、それぞれが等しくひとつの小さな力となって、この映画を支えている。そんな映画。この映画を観たら、誰もが街角で録音をしたくなるはずだ。そこから何かが生まれることを信じて。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2015年2月5日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ