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駆込み女と駆出し男 (2015)

監督
原田眞人
  • みたいムービー 2,160
  • みたログ 4,920

3.94 / 評価:3778件

大泉洋が雰囲気を壊してる

  • kaz***** さん
  • 2020年5月17日 2時13分
  • 閲覧数 1035
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

言葉が分かりにくいという評価もあるが、言葉は時代で変わるもので、50年も経つとかなり変わる。江戸時代の言葉が現代人にわかりやすいはずはない。もし、分かりやすく意訳して脚本すれば時代のリアリティーは半減する。台詞が早口なのも含め、時代演出だと私は好印象に感じた。

景色や建物の雰囲気も抜かりなく、時代をタイムスリップしたような感覚に陥る。最初から、これは素晴らしい作品だと期待を感じさせた。

満島ひかりの演技も素晴らしく、表情から細かい所作まで一切の隙間なく計算されており、まるで江戸時代から抜け出てきたような立ち回り。ただただすごいと圧巻して観ていた。全身全てから『江戸のいい女』がみなぎっていた。

武田真治の演技もすごい。江戸の遊女と遊び呆ける横暴男に憑依しており、この時代の嫌な男がどんな風なのか?一瞬で視聴者に悟らせる見事な演技力だった。細かい目の動き、表情、セリフの言い回し、所作に至るまで、江戸の男を感じさせた。

ところが、、

戸田恵梨香が山に逃げる辺りから、雰囲気が変わってしまった。

まず、戸田恵梨香のセリフの言い回し。所作や立ち回り、表情は喋り方の端々が『現代人そのもの』。どう頑張っても、現代人ぽさが抜け出ていない。いきなり『江戸時代に現代人が来ちゃいました!』みたいな感じ。。

戸田恵梨香は、前半は気の弱い女の役という設定だが、気の強い現代人まんまの雰囲気で『江戸の男に虐げられてる女』には見えない。せっかくここまで江戸時代にタイムスリップして観ていたのが、戸田恵梨香の登場から、とたんに現代に引き戻されてしまう瞬間だった。

次に、大泉洋が出てきたところで、更にダメになった。この人の表情や所作も『現代人そのもの。』ああ、また、2人目の現代人が来ちゃいましたという感じ。。特に大泉洋の目がダメだ。彼の瞳に映る風景が、現代なのが映像を見てて伝わってしまう、 。彼は江戸ではなく『現代を生きる男の目』をしている。

戸田恵梨香もそうなんだけど『瞳』が現代人の動きなんだよ。

『役者の瞳に映る世界』から、役者の生きてる世界は視聴者に伝わってくる。私は『役者が何を見てるか?』に注視しているのだが、戸田恵梨香も大泉洋も、江戸時代に生きてない。江戸時代を見ていない。その瞳からは、現代を生きてるのが丸分かりで、背景やセットから浮いてしまってるんだよ。

大泉洋は風変わりな男の役。だから、あのキャラクターなのは理解できるけど、あのままじゃダメなんだ。

『江戸時代に生きる風変わりな男』と『現代を生きる風変わりな男』の演じ分けが出来ていないとダメなんだ。

これは、役者として致命的だと思う。(もしかしたら監督が、いつもとーりの演技でいいよーとか言ったのかもしれないけど)

戸田恵梨香に関してもう1つ言えば、最も演技の腕の見せ所であったはずの『寺で過ごした2年間の成長過程』も、演技に差をつけることが出来てなかった。ここは、細かい描写が省かれてるため、2年の月日を演技の差で表現するしかなかったのだが、残念ながら、その成長を戸田恵梨香の演じ分けだけで、視聴者に感じさせることが出来てなかった。一番の役者の見せ場なのに惜しいと思った。

戸田恵梨香のラストの格闘シーンは素晴らしかったが、その気迫は前半にも既に『気の強い現代人』というオーラを消せてなかったため、『2年後も同じ人がいますよ』的な感じで終わってしまった。。

リアリティーを重んじる私としては、大泉洋と戸田恵梨香が、この映画の雰囲気を全てぶち壊してる印象。雰囲気ある江戸の舞台を再現しながら『いまいち引き込まれなかった』と感想を述べてられる視聴者がおられるのは、つまり、そーゆーことなんだと思う。

この二人を評価してる人がおられるが、もし、この映画の背景やセットが現代の高層ビルだったら?と想像すれば、背景が高層ビルでも、戦後昭和の古びた街並みでも、2人の演技は普通に成り立ってしまうことに気付くはず。

瞳に映る風景から、細かい所作まで計算して演技しなければ、ずいぶん印象が変わってしまう典型だなと。。それじゃダメなんだということ。

これは完全にミスキャスト。大泉洋と戸田恵梨香が演技派の役者でキャスティングしていたら、私は評価5点でした。演技派の満島ひかりと武田真治と入れ替え方がまだマシだったかもしれないとさえ思ってしまった。(武田真治なら、どんな役でも見事に憑依して演じきるだろう)

あと、音楽もダメ。伸び伸びした優雅なオーケストラは、この映画には似合いません。タイトルのセンスもどうかと思いました。。

色々と書いてしまいましたが、風景やセットの素晴らしさと、満島ひかりと武田真治が素晴らしかったので、星3つです。(それすら良くなかったら星1つですした)

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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