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駆込み女と駆出し男 (2015)

監督
原田眞人
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  • みたログ 4,919

3.94 / 評価:3777件

文字通りの「粋がり」な映画

  • 和製ズィーマン さん
  • 2020年5月19日 19時15分
  • 閲覧数 1697
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

何だか矢鱈と出演者たちが早口のセリフをまくしたてるな…と思っていたら、かの悪名高き「関ヶ原」と同じ監督であったか…なるほど、納得。
バブル期の小劇団のノリが好きなのか(「大審問」の件の演出は舞台演劇そのもの?)、限られた尺に少しでも情報量を詰め込もうとしているのか(多くのエピソードを詰め込み過ぎのような…)は分かりかねるが、いずれにせよ、この監督の嗜好に基づく演出なのであろう。

さて、いつのころからか、江戸時代を必要以上にもてはやし(まあ、昭和の時代に必要以上に暗黒視された反動もあるのだろうが…)、江戸情緒とか江戸時代の「粋」とかに矢鱈と拘りを持つ風潮があるが、演出から察するに、この映画もその口なのであろう。
しかし、ストーリー中に戯作者や奢侈行為に対する弾圧が出てくることからしても、原作(原案)小説は、江戸時代を理不尽なものとして描いていると思われる(私は原作未読のため、原作内容に触れることは適当ではないかもしれないが)。
江戸時代の不条理を描いたお話を、江戸時代を肯定するようなノリで上書きしてしまうから、木に竹を継いだようというかキメラ的というか、映画自体が何だかちぐはぐな感じになってしまっている。

演出にしても、江戸時代風(あくまでも「風」であろうが)を再現しようとしたセリフ回しがあるかと思えば、「幕府」だの「天皇」だのといった明治時代以降に一般化したモダンな漢語を交えたセリフが出てきたりで統一感がない(しかも、天皇から官位を授与されている武士ではない町人身分の源兵衛が、天皇が将軍の上に君臨する存在であることを認識している!)。
全体のストーリーからすれば、江戸情緒だの粋だのは放擲して、敢えてセリフに関する時代考証を無視して現代風にしたほうが、メリケンサックとか大審問とか想像妊娠が活きてきたのではないだろうか?

監督は粋というものに拘ったのかもしれないが、はっきり申し上げて、これ見よがしの演出は鼻に付く。
「文語体や川柳の引用セリフ、江戸時代っぽくて粋な感じだろう?自然光を活かした撮影、昔の安物の時代劇の平板な照明と違って、スタンリー・キューブリックの『バリー・リンドン』ぽくて格好いいだろう?」という監督のドヤ顔が浮かんでくる。
これ見よがしは「野暮」であり、粋はその対極にあるものではないだろうか?

※あ、それから素朴な疑問なんだけど、東慶寺って妻に逃げられた夫が怒鳴り込んで来るなどしょっちゅうあっただろうに、門前に寺役人とか用心棒はいなかったの??

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