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サンバ
2014年12月26日公開

サンバ

SAMBA

1192014年12月26日公開

kih********

5.0

新型マイノリティを癒す旧来マイノリティ。

 これもまた移民のお話。先日観た『お爺ちゃんの里帰り』はドイツに入ったトルコ系の移民の例だった。こちらはサンバの国、ブラジルからの移民らしい。らしいというのは、フランスでは、不法滞在が多く、このサンバ青年を含めて、「自分が誰かさえ分からない」というほど、偽称がまかり通っているからだ。  移民支援のボランティア組織がある。というのだから、移民が抱える窮状が一般化しているということだろう。「わが国もやがてそうなる、いやすでにそうなっている」とも言われるが、地方においてはそこまでの認識はない。  立て続けに2本の移民の映画をみたが、これでやっと分かったことがある。それは、これまで1000本近くの洋画を鑑賞しているが、画面に出て来る街の通行人・学校の教師&生徒・会社・役所の社員・職員、政治家・議員たち、等々に、外国人が多くの割合で混在しているのに、どうも違和感に似たものを感じていたが、それらはそれぞれの国で常識的な日常の風景だったのだ。そして、移民の問題、マイノリティーの問題も日常の問題だったのだ。これで分かった。  本作を手にしたのはそうした移民問題の勉強をしたかったからではなかった。評判の『最強のふたり』を観た後、同じ監督と同じ主人公の映画ということだけだった。状況は、黒人青年がマイノリティーの貧困者であること、白人セレブに援助されること、この青年のキャラが明るく陽気であること、等で同じ設定になっている。特に、主人公のキャラに負うところが大きい。  粗野に見える青年だが、白人インテリ女性の気を引くほどの魅力がある。むしろ、支援者であるはずの女性が欝の状態。そう、一流企業のキャリア組にも過労による神経症など疲弊症候群が日常化してきているという実態がある。一種の(新種の)マイノリティーだ。新種マイノリティーが旧来マイノリティーに魅かれるという、新型・ラブストーリーといえる。「どうもすっきりしない」「もやもやしている」というご批判も多いが、これはこれでいい。一見お洒落なパリの街も、マイノリティーの抱える問題も、スッキリとは片付かないのだから。

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