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エレナの惑い (2011)

ELENA

監督
アンドレイ・ズビャギンツェフ
  • みたいムービー 20
  • みたログ 52

3.53 / 評価:30件

こちらの不安を掻き立てる上手さもあるが

  • りゃんひさ さん
  • 2015年1月15日 23時42分
  • 閲覧数 1099
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

『父、帰る』『ヴェラの祈り』のアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の2011年の長編第3作目『エレナの惑い』。
『ヴェラの祈り』との2回券を買っていたので、前作のように長尺で辟易しなければいいなぁと思いながら、出かけました。
さて、映画。

初老の女性エレナは、資産家のウラジミルの後妻。
以前にウラジミルが腹膜炎を患った際に、入院していた病院で看護師をしていたエレナと知り合って、再婚した。
交際して10年、結婚してから2年半、ふたりの住む郊外のマンションはかなり豪華で、ウラジミルの資産を窺い知ることができる。

ふたりには互いに成人した子どもがおり、ウラジミルには娘、エレナには息子だ。
エレナの息子セルゲイは結婚しており、妻とティーンエイジャーの息子、それに幼子の四人で都会の狭いアパートで暮らしている。
セルゲイは不況の影響で職がなく、生活の資はエレナからの援助に頼っている。
エレナの孫は高校卒業を間近に控えているが、大学に進学する金もなく、このままでは軍隊に入るしか手はない。
そして、その孫は悪い仲間とつるんでおり、さらに先行きは見えない。

そんな中、エレナはウラジミルに、孫の大学進学を援助してほしいと願い出るが、エレナの息子一家は自分にとっては赤の他人だとして、拒絶されてしまう。

折しも、ジムのプールで心臓発作に見舞われたウラジミルは、遺言を書くと言いだす。
かねてから話していたとおり、資産は自分の娘に譲り、エレナには遺族年金を残すという内容であろう。
エレナの心に漠然としてものが湧き上がってくる・・・

といったストーリー。

たしかに110分程度と『ヴェラの祈り』よりも尺も短く、引き締まった印象。
ただし、ここにいたるまでのエレナとウラジミルの背景は判りづらく(というか、あまり描かれていないので)、いまひとつ観ていて興が乗らない。

勿体ぶった演出は相変わらずだか、すこぶる上手い演出もある。

上手い例をあげると、オープニングとエンディング。
どちらも、エレナとウラジミルが暮らすマンションの外景なのだが、マンション外の葉の落ちた樹木越しに撮っている。

オープニングはまだ明けやらぬ朝。
寝静まった室内はひとの気配がない。
カメラの焦点は、外の樹木から窓へ、窓から室内へ、そして再び樹木へと移る。
焦点が樹木にもどった時、一羽のカラスが枝に止まり、不穏な雰囲気を掻き立てる。
そして、人気のない室内へとカメラが切り替わる。

エンディング。
室内にはエレナとセルゲイ家族。
団欒といってもいい語らい。
カメラは外の樹木越し。
焦点が室内、窓、外の樹木へと移っていく。
枝にカラスこそ止まらないが、その焦点の移動によって、団欒の語らいが不穏な雰囲気に聞こえてくる。

その他にも、
セルゲイの公団アパートを外から撮ったカット(ここでセルゲイはベランダから階下に向かって唾を吐く)と、ウラジミルのマンションに移ってきた際に息子がベランダから階下に唾を吐くシーンの対比や、
プールで心臓発作を起こすウラジミルのシーンなども観ている方の不安を掻き立てる。

このような上手い演出もあって、これはいいぞ、とときおり思ってしまう。

でも、やっぱり勿体ぶってて、りゃんひさには合わなかったです。

ということで、評価は★3つとしておきます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 絶望的
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