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エレナの惑い (2011)

ELENA

監督
アンドレイ・ズビャギンツェフ
  • みたいムービー 20
  • みたログ 52

3.53 / 評価:30件

人間を描く行間から見えるロシア社会の闇

  • じゃむとまるこ さん
  • 2017年2月28日 11時48分
  • 閲覧数 786
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画はロシアの今、ということを抜きにしては語れないと思う。
2003年ヴェネツィア映画祭金獅子賞『父、帰る』、2014年カンヌ映画祭脚本賞『裁かれるは善人のみ』と受賞しているのは単に人間ドラマである、ということで受賞しているわけではない、本作も2011年カンヌある視点部門審査員特別賞受賞、なぜこの監督の映画が作品発表の度注目されるのかというのは、人間と社会との関係を突き詰めて、社会の闇であり人の心の闇でありを重複させて描いているからだろう。

人の心は不安定な社会不安の中で蝕まれてゆく、明るい先行きが見いだせなければ人の心は腐ってゆく。
主人公エレナは普通の社会にいれば普通の人間であり、犯罪に手を染めるそんな特殊な人間ではないが、いともたやすく一線を越えてしまう。
それを超えたとたん罪悪感はほとんど感じていないように見える。
彼女も、彼女の息子も貧困の中で性根が腐ってしまったのだろう。
そして孫もまた同じ道をたどり、映画最後に映し出される無垢な赤ん坊もまた同じ道をたどるのかもしれない、どうとでも取れるシーンだが、明るい未来を感じさせるものは何もない。
夫ウラジミールの言い分は一見もっともなことだが、ロシアの貧富の格差を知っていればまた違った見方になるのかもしれない、それを感じさせるのが彼の娘の絶望だ、腐ってしまえないからこそ彼女は絶望の中にいるといえるのだろう、そう考えるとウラジミールの言い分の裏にあるものが垣間見える。

描かれている人物一人一人の放つ毒の後ろに見え隠れするロシアという国を正面から見据え、しかも映像という媒体で表現することにこだわったカメラワークも素晴らしい映画でした。
冒頭とラストはほぼ同じ映像なのだが、全く変わってしまった彼ら家族の堕ちてゆく先はとどまるところを知らず、という印象を感じた。

人の怖さ愚かさを描いて絶望的な気分になるが、端々に表現のセンスの良さがあり、暗いだけではない見ごたえはあった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 絶望的
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