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繕い裁つ人
2015年1月31日公開

繕い裁つ人

1042015年1月31日公開

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3.0

惚れ惚れとするウォーキング

…あらすじは、解説のとおり。  神戸の街を見渡す坂を上ったところに、“南洋裁店”という小さな看板を掲げる古びた洋風の一軒家があった。  店主の市江(中谷美紀)が作る一点ものの手作りの洋服はいつも即日完売という人気ぶり。  神戸のデパートに勤める藤井(三浦貴大)は市江にブランド化の話を持ち掛けるが、まるで頑固な老人のような彼女は興味を示さなかった。  祖母から引き継いだ『ここの服は何十年たっても着られるから…』というお得意さんの信頼を頑なまでに守るのだった。  歳月を経て体系が変わったとしても、その体系に合わせて仕立て直してくれるし、また、母のお気に入りのワンピースを娘用にアレンジもしてくれるのだった。  で、ある日、藤井と車椅子の身の妹(黒木 華)との幼少のエピソードを耳にして、初めて市江の心に封印してきた何かが動き出すのであった。  市江の初めてのオリジナル・デザインの洋服は、黒木 華のウェディング・ドレスだった。  このウェディング・ドレスは、なんらファッションに関心のない自分が見ても、首回り、ヘアー周りはハッとするほどの美しさがあった(車椅子の身なので、裾周りが風船で空中に浮く仕掛けはちょっとやり過ぎの感もあり……)。  デザイナーは伊藤佐智子という方らしいが、その道では相当に名の知れた方なのだろう。  で、これを切っ掛けとして、自らの進む道を探し当てたかのように、にっこりと笑って次のように言う幕引きはなかなか爽やかだった。  『私に、あなたのドレスを作らせてくれませんか?』  中谷美紀が街中を歩くシーンがあるのだが、背筋がピシッと延びていて惚れ惚れとするウォーキングだった(自分が猫背のせいか、本作の中で一番印象深かった)。  で、中谷美紀は本作の主人公を見事に演じていたが、相手役の三浦貴大がなんだか野暮ったく見えてきて、着ているスーツ・ジャケットもあんまり似合っているとは思えなかった。  また、脇役陣に、余貴美子、中尾ミエ、片桐はいり、伊武雅刀というメンツが名を連ねていたが、なんら個性のない役どころでチョッピリがっかりしてしまった。  更に、エンディングでは、またしても平井堅の唄が流れ始めたので、流石にお腹が一杯になり、早送りで映倫の画面まで素っ飛ばしてしまったが、一見の価値はある作品だった。  ところで、よく『衣食住』と言うが、何故『衣』が一番先なのか調べてみた。  赤ちゃんが産まれた時、先ずは産湯に入り、次は、食事(授乳)でも住環境(コットに入れられる)のでもなく、おくるみに包まれるのだった。  新生児は体温調整が未熟なので、衣類を纏うことが最優先なのだそうだ。  な~るほど、納得。  

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