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くちびるに歌を (2014)

監督
三木孝浩
  • みたいムービー 563
  • みたログ 2,579

4.23 / 評価:2,523件

みんなが「苦しい中で今を生きている」

  • my******** さん
  • 2018年6月5日 21時43分
  • 閲覧数 2966
  • 役立ち度 98
    • 総合評価
    • ★★★★★

痛々しくも温かい。
子供達が光っている。

輝く風景の中で伸び伸びと育っているかのように見える子供達が実は様々な事を抱えているという事が胸をうつ。中でも自閉症の兄を持つ桑原のストーリーが胸に来る。課題の手紙。15歳の彼は彼なりに自分の存在意義を考え、それ以上は求めないという思いに涙した。それを知った上で「わかってる」と一言だけ彼に言う新垣結衣演じる先生の素直になれないキャラクターもここで際立つ。先生のピアノが弾けないというメインのストーリーを完全に食った。

風景が素晴らしい。長崎の五島列島の美しさに癒された。悩みを抱えた登場人物たちと海と夕日。とても典型的だがはやり美しい。頑張る合唱部と海と青空。本当に清々しい。映画を見てロケ地に行ってみたいと久しぶりに思った。

最初、新垣結衣演じる先生のキャラクターがぶっきらぼうでツンケンしてて気に入らなかった。自然体で演じている生徒に対して、「漫画か!?」と思うぐらいに極端なキャラクター設定なので、どうしても浮いてしまうし感情移入がしづらい。見ているうちに慣れてきたが、んー、やっぱり主役は生徒だな。でも新垣結衣は風景と相まってとても美しく映っていた。

そしてそして、自閉症の兄アキオを演じた渡辺大知。彼には本当に賞賛を送りたい。きっとさじ加減の問題はあっただろうが、存在に説得力があった。彼がリアルだからこそ、そのストーリーに重みが出て、両親役の木村多江や小木茂光により感動させられた。本当にすばらしい。

ラストもよかった。中村ナズナが弾くピアノに応えるアキオ。劇中ずっと母を思い生まれた事に罪悪感も感じていたナズナには「母が降りてきた」と思ったであろう感動の瞬間だった。生まれていけない人間なんていないとナズナのストーリーに結論が出た瞬間でもある。

しかしアンジェラアキの「手紙」は本当に胸を打つ。15年前の自分に今を見せたらがっかりさせてしまうだろう。当時の自分を見ても心が苦しくなる。いつの時代も「苦しい中で今を生きている」からだ。悩みの先にはまた悩み。でも希望の先にはまた希望。そんな事を考えながら、胸を締め付けられながら作品を見ていた。

この作品が日本アカデミー賞に絡んでない事が不思議に思えた。それぐらいみんなに見て欲しい映画。みんなが、いつの時代も一生懸命に生きている。

詳細評価

物語
配役
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音楽

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