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フレンチアルプスで起きたこと (2014)

FORCE MAJEURE/TURIST

監督
リューベン・オストルンド
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3.32 / 評価:296件

解説

フランスのスキーリゾートに休暇で訪れたスウェーデン人一家が経験する家族の危機を描く人間ドラマ。ある出来事をきっかけに一変する家族の関係を活写し、第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した。監督は、第24回東京国際映画祭最優秀監督賞受賞作『プレイ』などで注目を浴びたスウェーデンの新星リューベン・オストルンド。本能的に取った行動から妻子の信頼を失い、休暇の残された時間の中でバラバラになった家族の絆を取り戻そうとあがく主人公の姿が痛烈。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

フランスのスキーリゾート地にスウェーデン人一家がバカンスにやって来る。山際のテラスで昼ご飯を食べていると、突如ごう音が鳴り響き目の前の斜面で雪崩が発生。大事には至らず家族は無事だったが、夫トマス(ヨハネス・バー・クンケ)が取った行動により頼れる理想のパパ像は崩れ去り、妻と子供たちの反感を買い家族はバラバラなってしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Fredrik Wenzel
(C)Fredrik Wenzel

「フレンチアルプスで起きたこと」男の自尊心と家族の絆が揺らぐ心理劇、その背後に潜在するサスペンス!

 これは世のパパが身につまされる話だ。いざ危機に見舞われたとき、最愛の家族を守るのはパパの役目。ところが本作の主人公トマスはバカンス先で雪崩が発生した際、妻もふたりの子供も放り出して真っ先に逃げてしまう。それ以降、子供たちは反抗的な態度を示し、妻は執拗にその事実を蒸し返して夫を責めなじる。視覚効果も導入した長回しのワンカットで見事な雪崩シーンを創出したリューベン・オストルンド監督は、突発時に自己防衛を優先する人間の本能を暴き、男は強くて頼もしいという幻想を容赦なく打ち砕く。しかもトマスは一家の主たるプライドが邪魔してか、自分の“残念な行動”を認めず見苦しい言い訳に終始。本当にトホホなのである。

 こうして中盤以降は、トマス夫妻に友人カップルも加わった会話劇を交え、トマスの自尊心崩壊のプロセスが生々しく描かれる。まさに一級の心理ドラマであり、カップルや友人同士で観れば、トマスの言動をどう思うか、もしも自分だったら、などと鑑賞後の話題は尽きないだろう。

 おまけに本作は、不穏な気配にうろたえがちな筆者のようなスリラー体質の人間にはとびきり厄介な映画だ。舞台のスキーリゾートは大きな雪崩を未然に防ぐ爆破が行われ(問題の雪崩も人為的に起こされた!)、あらゆる安全管理が行き届いているように見える。ところが雪崩シーンの後も、リフトやベルトコンベア式の歩道といった乗り物が映る場面がいちいち不気味で、スキーの滑降シーンや静寂と闇に包まれた夜間シーンも“何かが起こる”予兆をかき立ててやまない。だからこそホテルの部屋内に、小型無人機ドローンが突如乱入してくる瞬間は絶叫ものだ。

 そもそも大自然や乗り物を100%完璧にコントロールするなんて不可能だ。人間は不完全な生き物だし、私たちが生きる世界は不測のトラブルに満ちている……。今にも崖っぷちの足場が崩れ、薄氷が割れそうな潜在的サスペンスを画面の隅々に張りつめさせたオストルンド監督は、意地悪くも5日間の物語の最終日にバスという乗り物を登場させる。飛行機やジェットコースターに乗るたびに「もしも墜落したら」「もしも脱輪したら」などと嫌な想像を膨らませてしまう心配性の観客は、最後まで息を抜くことを許されないのだ。(高橋諭治)

映画.com(外部リンク)

2015年7月2日 更新

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