ここから本文です

さよなら、人類 (2014)

EN DUVA SATT PA EN GREN OCH FUNDERADE PA TILLVARON/A PIGEON SAT ON A BRANCH REFLECTING ON EXISTENCE

監督
ロイ・アンダーソン
  • みたいムービー 104
  • みたログ 360

2.99 / 評価:232件

『お元気そうでなによりだ…』

  • fg9******** さん
  • 2017年4月11日 15時06分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

 …独自の悠然としたペース、スタイルで摩訶不思議な映画世界を追求してきた異才アンダーソン監督が、2000年発表の「散歩する惑星」、2007年発表の「愛おしき隣人」と並ぶ、3部作の完結編として発表した長編第5 作目。
 第71回ヴェネチア国際映画祭では、みごと金獅子賞(グランプリ)に輝いたらしい。
 「散歩する惑星」、「愛おしき隣人」は未見だが、観てみる。
 …あらすじは、解説のとおりでは何も伝わらないだろう。
 吸血鬼の牙や笑い袋など、面白グッズを各地で売り歩く2人組の中年セールスマン、サムとヨナタン。
 しかし、2人が懸命に売り文句を並べ立てても商品はなかなか売れず、その上、雇い主からの給料の支払いも滞りがちで、彼らの生活はつらい日々の連続だった。
 一方、フラメンコ教室の孤独な中年女性教師は、教室にレッスンを受けに来た若い男性に熱を上げ、ダンスの指導の合間に何かと体に触りまくって、彼を気味悪がらせることに…。
 で、このサムとヨナタンは、吸血鬼の牙や笑い袋の他に最新作として歯抜けジジイの被り物も商っているのだが、どう贔屓目にみても売れるような代物ではない。
 で、商売を巡って二人はビジネスホテルのような場所でちょっとした諍いを始めるのだったが、諍いをするたびに、そこの管理人が出て来て、「明日の朝、早い仕事の方もいらっしゃるので……」と数回繰り返す場面は妙にツボにハマってしまったな。
 また、現代のカフェに突如として中世の王様と家来どもが登場し、ロシアを征伐に出向いたのだったが、暫くして敗残兵となって退散して来るシーンも可笑しかった。
 更に、女主人のロッタの店では、酒を飲ませてあげる代わりのお返しはキスで、その時の唄は日本人にもお馴染みの、♪ごんべさんの赤ちゃんが風邪ひいた~♪では若干感動を覚えてしまった。
 かと思えば、猿が拷問・虐待されていたり、巨大なドラム缶の中で黒人奴隷が焼かれたり、人間の恥部を描く場面もある。
 で、これらの場面が定点カメラでの超長廻し映像なので、丸で一枚の絵画が動画になっったような気分に浸れるのだ。
 邦題のタイトルは『さよなら、人類』なのだが、これって「たま」というグループの楽曲名ではなかったか?
 ちなみに原題は、「実存を省みる枝の上の鳩」なんだそうだ。
 なんとも哲学的で本作にピッタリだ。
 で、劇中で一番印象に残った言葉は、ウォルシュさんのレビューどおり、『登場人物達が少々白塗りで、大丈夫ですかと声をかけたくなるが、劇中のセリフを借りて、元気そうで何よりだ、元気そうでよかった。』
 『お元気そうでなによりだ…』という言葉が何回かリフレインされていたが、この言葉こそ本作のキモなのだろう。
 オサラバしたいくらいに愚かしい人類だが、『お元気そうでなによりだ…』とお互いを労わり合う心が残っているならば、未だ人類捨てるに能わず……という人間賛歌にもとれる作品だった。
 なんて屁理屈を捏ねまわしてみたが、『さよなら、屁理屈』と痛罵されそうな、不条理でシュールでブラックな止みつきになりそうな味わい深い作品だった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不思議
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ