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さよなら、人類 (2014)

EN DUVA SATT PA EN GREN OCH FUNDERADE PA TILLVARON/A PIGEON SAT ON A BRANCH REFLECTING ON EXISTENCE

監督
ロイ・アンダーソン
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2.99 / 評価:232件

「リビング・トリロジー」最終章

  • 一人旅 さん
  • 2017年12月6日 13時08分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

第71回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。
ロイ・アンダーソン監督作。

面白グッズを売り歩くセールスマンが目撃する悲喜こもごもの人々の姿を描いたコメディ。

スウェーデンが生んだ寡作の映画作家ロイ・アンダーソンのキャリア集大成とも言えるシュール&不条理コメディで、『散歩する惑星』(2000)『愛おしき隣人』(2007)に続く三部作「リビング・トリロジー」最終章。一応はシリーズ物の完結編の位置づけですが、作風やテーマが似通っているだけで内容は相互に無関係なので本作単体で観ても十二分に独特の世界観を堪能できます。

例によってお話はあってないようなもの。面白グッズを売り歩く陰気臭い二人のセールスマンが主人公らしき人物として映りますが、彼らを中心にした一本筋の物語が描かれるわけではありません。滑稽で可笑しみに満ちたいくつもの独立したカットを繋ぎ合わせた構成になっていて、これは第一作『散歩する惑星』から一貫して見られる作りです。

シリーズ最終章となる本作でも暗喩・象徴に富んだ不可思議な映像世界が映し出されます。面白グッズを陰気臭い顔して売り歩くセールスマン…という入りからして既に可笑しいですし、ワインの栓を抜こうとして心臓発作を起こす主人とそれに気づかず料理を続ける妻、人々で賑わうバーに馬に騎乗した皇帝らしき人物が乱入してきたかと思えば「女は出て行け」と一喝してひと騒動起こる場面、お金がなくて酒代を払えない兵隊たちに「キスで払って」と歌いながら促す女主人、一定のリズムでひたすら大笑いを繰り返すレストランの客たち…など掴み所のない可笑しみに溢れた映像が始まりから終わりまで映し出されます。戦争や動物実験、黒人奴隷といった人類が歩んだ負の歴史を象徴するカットをさらっと忍ばせながら、日々を懸命に生きる市井の人々の悲喜こもごもの人生を温かく愛情に満ちた視点で描き出しているのです。

油絵のような“ざらつき”を感じさせる独特の映像や、画面の奥行きを意識した構図、固定カメラによる俯瞰的な映像作り、さらには小物や衣装、美術に至るまで監督の並々ならぬこだわりの美学が全カットに見受けられます。

「人間は滑稽で愚かな生き物、でも愛おしい」
アンダーソン監督の想いは明白です。

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