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花とアリス殺人事件 (2015)

監督
岩井俊二
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3.58 / 評価:478件

解説

『ヴァンパイア』などの岩井俊二監督が、2004年に公開された『花とアリス』を自らの手で初の長編アニメーション作品として作り上げた少女たちの物語。前作では触れられなかった主人公たちの出会いのきっかけや、友情が始まる瞬間などを捉えている。今回もアリスを蒼井優、ハナを鈴木杏が声優として演じる。原作と脚本、音楽と監督の全てを岩井が担当する、新しい世界の誕生に魅了される。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

石ノ森学園中学校に転校してきた中学3年生のアリスこと有栖川徹子は、1年前に「ユダが、4人のユダに殺された」という3年1組に関するうわさを耳にする。彼女は自分の家の隣の屋敷が「花屋敷」と呼ばれ、この辺りの中学生たちを怖がらせていることも知る。隣家の住人のハナならユダについて何か知っていると聞かされたアリスは、花屋敷へ足を運び……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)花とアリス殺人事件製作委員会
(C)花とアリス殺人事件製作委員会

「花とアリス殺人事件」思春期に出会った花とアリスの、奇妙なバランスの信頼関係をアニメ化

 人と友達になる瞬間というのは覚えていないものだ。「花とアリス殺人事件」は、岩井俊二が2004年に原作・脚本・監督を務めた「花とアリス」のスピンオフ・アニメで、花とアリスが出会う前から始まる物語。犬同士が遊ぶ時、彼らはただ走り回る。じっと目を合わせたりすることなく、ただじゃれ合い、疲れると付かず離れずの場所で休憩する。夕方の空き地で、近所の犬と遊ぶ自分の犬をぼんやりと眺めていた幸せな時間を、花とアリスが走り回る姿に重ねて思いだした。

 まず最初に気に入ったのが、アリスの性格が良いところ。はすっぱだけど、付き合いが良くて優しい。両親の離婚、転校、そしてクラスでのいじめなど、思春期にふりかかる暗く面倒な出来事に、ドライに向き合うアリスはどうしてあんなに強いのだろう。そして、なかなか登場しない花の、暗さと聡明さを際立たせる男の子のような低い声がすごく新鮮。やっと転がり始めた事件の真相に、なかなか辿りつかないグダグダした二人のやりとりが、中学生のあの感じでグっとくる。少しずつ、奇妙なバランスで積み重ねられる信頼関係が、ささやかに丁寧に描かれている。

 実写から描き起こされたロトスコープというアニメーションの手法が、バレエのシーンではとくにハッとさせられる。するすると動く手足は、実写とはまた違う気持ち良さがある。遠景での人の動きや、スローモーションでの演出など、独特で印象的なシーンも多く、アニメとしての面白さも凝縮されている。実写ありきであっても、それぞれのキャラクターデザインが、そこまでリアル寄りではなく、表情や動きには、アニメらしい大胆な演出もあり、コミカルな動きが楽しい。背景は水彩で繊細に描かれているので、叙情的な風景も美しく、アニメが苦手な人も、きっと楽しめると思う。

 特筆すべきは、最後の最後のシーン。どこにでもあるような、でも特別に良いあの関係性。なんだか、また学校行きたくなっちゃったなー! そんな気持ちにさせる作品、はじめてかもしれない。(衿沢世衣子)

映画.com(外部リンク)

2015年2月19日 更新

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