WXYは知ってても、それだけじゃ
1.0点
映像化すると、舞台劇よりも更に具体化が進むので、見る方の想像力に訴える部分が多い作品では原作の良さ、意図が伝わり難い、この映画もその一例。 主人公は、人が生まれ生きた証を忘れてしまう事、特に自分が祖父の事を忘れてしまった事に耐えられない。 その事の重要性が、家族の不幸にも替え難い代物になってしまう、この点から異常が始まり。その後、異常の系譜としても描かれていく。 自分の父と出合ったDV被害女も、異常の系譜の一部。母親のDVを引き継いでしまう。 そんな二人が放浪するも出口の無い旅をしてしまっただけにしか見えない。 それとDV被害女にまとわりつくその亡夫の亡霊、小説の活字では読者に当然その姿は見えないが、映画では、はっきり見える表現。ここはこの女の内面の想像だと感じさせる絵図にしないと心理劇がファンタジーになってしまう。 自分と母を棄てた実父を恨む雑誌記者も、自身も結局実父を棄てることで報復としようとするのだが、違和感の残る付けたしの情景となる。
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