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マッドマックス 怒りのデス・ロード (2015)

MAD MAX: FURY ROAD

監督
ジョージ・ミラー
  • みたいムービー 1,151
  • みたログ 1.1万

4.13 / 評価:11448件

「ストーリーが無い」という人に親切な解説

  • mad******** さん
  • 2015年6月30日 18時18分
  • 閲覧数 104174
  • 役立ち度 575
    • 総合評価
    • ★★★★★

V8=つまり8回鑑賞を果たした私が、「ストーリーが無い」という人のために親切に解説します。



「アクションばかりでストーリーが無い」「中身が無い」などと言われがちな本作ですが、分かっている人はとっくに分っているとおり、物語はそこに確かに「ある」のです。

本作の物語は、セリフではなく「ビジュアル」と「アクション」に付託されています。



■マックスの物語
守るべき者を守れなかった過去を持ち、荒野をさまようマックスは、「生きること」と「そのために必要なモノ」にしか興味のないケダモノじみた男です。

フュリオサたち人間よりも、インターセプター、ジャケット・ブーツ、銃器や弾丸、また輸血用のチューブなどに執着する姿が描かれます。そんな彼が、フュリオサや5人のワイブスとの道行きのを経て、少しずつかつての人間性と「名前」を取り戻していきます。


■フュリオサの物語
フュリオサが隻腕である理由は語られません。しかし、最後にイモータン・ジョーに投げかける「私を覚えているか?」一言とアクションが、すべてを物語ります。

「マッドマックス」なのにマックスが活躍しない、という人もいますが、そもそも原題の「FURY LOAD」のFURYはフュリオサにかかっており(これは邦題が悪い)本作は最初からマックスとフュリオサの物語なのです。



■イモータン・ジョーの物語
イモータン(=不死)・ジョーはこの縄文時代並みに平均寿命が低い世界において最長老であり、為政者であり宗教指導者であり軍団長(元軍人)です。やや利己的ではあるものの、この物語の中で最も知性的で、社会体制維持に意識的な人物です。たんに女好きで暴力的なのではなく、必要だからそうしているのです。


抑圧(≒秩序)の象徴であるジョーに対し、自由や生命力の象徴であるマックスと、尊厳や意志の象徴であるフュリオサが共闘する。というのが本作の物語の根幹です。これは人間社会の縮図そのものですね。


■ニュークスの物語
ウォー・ボーイズは無垢な魂を盲信で(文字通り)塗り固められた哀れな存在です。その1人であるニュークスは、挑戦や失敗を経験し、他者との交流のなかで急激に自己形成して、遂には(これまた文字通り)自決するのです。


■5人のワイブス(妻)の物語
スプレンディド=華麗な、すばらしい
トースト=焼いたパン
ケイパブル=有能な、受け入れ可能な
ダグ=変わり者、変人
フラジール=壊れやすい、かよわい
おそらく彼女らに命名したのはイモータン・ジョーです。ジョーは彼女らをまとめてプロパティ(=所有物)と呼びます。名前や外見でそれぞれの個性が丁寧に描き分けられています。

彼女たちのなかで一番若くひ弱で、途中で諦めてジョーの元に戻ろうとしたフラジールが、さいご重要な場面で知性と勇気を発揮します。



つらつらと書きましたが、この映画が本当にすごいのは、こんな御託は全く気にしなくても純粋に映像の奔流を浴びるだけで最高に楽しい!ということです。


アクション映画は常に「アクションシーンはストーリーが停滞する/ドラマシーンはアクションが停滞する」という構造的な問題から逃れられません。「トランスフォーマー」「ワイルドスピード」「アベンジャーズ」などを見れば、分かるとおりです。


「デス・ロード」は、その問題を、ち密な計算と圧倒的な物量によって突破した、たいへん画期的で革新的な映画なのです。

この映画が批評家や業界人から異様に評価が高いのは、そのせいでしょう。


この革新を可能にしたのは、ひとつには「シリーズもの」であることを最大限利用して「説明」を省いたこと。あとは、監督ジョージ・ミラーが天才だったとしか言いようがありません。


このシリーズは1~4まで、ゆるやかな連続性を持ちながら、しかしそれぞれ独立した世界観で描かれてきました。

なので、いま新たに計画されているという「5」ではマックスは、きっとまた少し違うマッドネスをもつ者として現れ、「デス・ロード」とは異なる荒野をさまようのかも知れません。


現在御年70才のジョージ・ミラーの創造力がイモータンであることを祈りましょう。V8!V8!!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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