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女神は二度微笑む
2015年2月21日公開

女神は二度微笑む

KAHAANI

1232015年2月21日公開

bakeneko

5.0

ネタバレインドの女神はつおい!

“失踪した夫を捜すためにロンドンからコルカタを訪れた身重の妻が、異郷で孤軍奮闘探索していく内に2年前の地下鉄テロの組織が動き始める”―という二転三転する映画的な仕掛けが見事なサスペンススリラーの努力作であります。 今回はどうしてもネタバレとなります―鑑賞後にお読みください (鑑賞後の相棒との会話) いや~、古今東西の推理サスペンスをよく勉強しているね! 妊婦が捜査する―「ファーゴ」 夫の失踪を探しに異境を訪れた妻のサスペンス―「ミッシング」 証拠を求めて彷徨いながら、実はその街の名所紹介もしっかりしていく観光映画―「シャレード」、「アラベスク」 組織内の内通者をあぶり出す“二重スパイ”もの―「荒鷲の要塞」… その他にも「第三の男」、「オデッサ・ファイル」、「ユーズアル・サスペクツ」の筋立てや仕掛けを引用して、更に「コンドル」の様な癖のある殺し屋や「雨の訪問者」の様にヒロインに恋慕する警官といった、登場人物のキャラクターも魅力的だ! 基本的には観客もヒロインと一緒に不可解な状況で真実を求めて冒険する―「バルカン超特急」を始めとしたヒッチコック映画の面白さを取り入れていて、最後までハラハラしながら物語に惹き込まれる… 「舞台恐怖症」風の“反則技”もあるしな! ここまで“古今東西の推理サスペンスのいいとこ取り”をしながらも、しっかりインド映画のお約束の歌も入れて映像とのコラボレーションでも魅せる辺りはサービス満点だね! もう一つのインド映画名物?の“言葉の違い”も、出てくるしね。 そしてインド的な因果応報の神の御技に帰結して東洋的な感覚で締める―西洋活劇を愉しませながら肝心の部分ではアジア的感性を矜持しているところも見事だなあ~。 本作では、ドゥルガー・プージャー祭りが物語の鍵になっているね。 ドゥルガー・プージャー祭りは大体10月頃、とりわけベンガル地方では盛大に行われる… 山車や灯明が出て最後に創った像を水に流すあたりは、日本のお盆や精霊流しを連想させるね! 最後のもの凄いどんでん返しは賛否両論あると思うけれど、あれも“ドゥルガーの神話”に基づいているんだ。 ドゥルガーは10本あるいは18本の腕にそれぞれ神授の武器を持つ最強のシヴァ神の神妃とされ、神々の要請によって魔族と戦った。そして最後に水牛の姿に扮装した敵ボス:マヒシャースラの正体を見破り、三叉戟(三つ叉の槍)でとどめを刺す。 じゃあ、インドの観客はヒロインが女神のエピソードをなぞっている事を感じているから、それほど驚かなかったんだ! 寧ろ、絶対微笑まない戦いの女神ドゥルガーの神話が絡んだ映画に、こんな意味不明の邦題が付けられたことが驚愕だろうなあ―映画を観た日本人でさえ意味不明だもんな~ ねたばれ? 1,原題”Kahaani”は(お話=神話、作り話)の意味があります。 2,ヒロインが“モナリザホテル”にクジャクの像がある事を最初から知っていたのは、インドのホテルは必ず何かの神様をお守りにしていることから推理したと考えられます。殆どが凛々しいor怒りの表情を浮かべているインドの女神の中で、モナリザ(=ほほえみを浮かべた女神)に例えることが出来るのは、孔雀明王(くじゃくみょうおう:マハーマーユーリー)が唯一の存在だからであります。

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