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種まく旅人 ~くにうみの郷~ (2014)

監督
篠原哲雄
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3.35 / 評価:115件

まぁ~るく治まる、現代の海幸彦山幸彦物語

 農林水産省の役人を主人公に描いた2011年「種まく旅人~みのりの茶」に続く作品です。前作は少々編集の雑さが目立ちましたが、陣内孝則官吏と田中麗奈Uターン女性によるお話で、お茶作りの実態もよくわかったし、なかなか気持ちの良い作品でありました。ただ、市長が同席していながら、陣内が市長の代読をするというクライマックスの表彰式のシーンに、もの凄い違和感があったことを覚えています。
 さて、2011年の状況に比べると、地域新興を題材にしたドラマや映画は格段に増えました。これは3.11以降、とみに顕著になってきた気がします。今回の作品も、その類いではありますが、山と海を繋げる、それも林業と漁業ではなく、農業と漁業を結びつけたのは、新しい視点だったかもしれません。栗山千明も、アメリカ帰りの、そしてエリート官僚でありながら現場を全く知らない役柄が、らしくて良かったと思います。また、農業法人を目指していながら大失敗をするという話は、数多く出版されている本の影響もあったのかもしれません。
 しかし、やはり些細なことが気になりました。映画はファンタジーですから、ストーリー展開についてとやかく言うわけではないのですけどね。
 まず一つ目。栗山官吏は、農林水産省から3ヶ月の派遣と言うことで島にやって来ています。と言うことは、おそらく給料は農林水産省持ち。旅費、残業代などは市町が負担するという形態になると思います。つまり出張ではありません。となれば、栗山千明がビジネスホテルに滞在するのはおかしいでしょ?あり得ないと思います。ま、これは私が元公務員だったから気になるのかもしれませんけど。次に、「かいぼり」というのは、普通に辞典に載っている言葉です。ならば農家というか田舎出身という設定の栗山官吏が知らないはずないと思うんだけどなぁ。そりゃ「溜め池」のかい掘りとは思わなかったとしてもね。加えて、長男と次男の確執も今一つ判りませんでした。好き勝手に都会に出て行った長男に、次男をなじる資格はないような気がします。
 ま、そんなことは良いでしょう。なにしろ舞台は淡路島。淡路島とくれば、タマネギと人形浄瑠璃ですよ。これをうまく組み入れたストーリーは見ていて飽きませんでした。あと桐谷健太と三浦貴大兄弟は、顔つきが同系統のせいか違和感がありませんでしたね。そして、クライマックスの「かいぼり」シーン。どう考えても地味だよなぁと思いながらそのシーンを待っていましたが、それなりに形になっていました。また、部長は来ないのかなぁ、普通なら顔出すよなぁと考えていたら、ちゃんと来てくれるしね。この部長役を演じているのが元アイドル歌手の山口いづみってのも、時の流れを感じます。
 「かいぼり」のシーンがクライマックスにはなっていますが、キモは「種」なのかもしれませんね。そうやって、未来に繋がっていくのが本来の農業なのでしょう。でも、ハイブリッド種子では、コレが出来ないんですよね。一方、海苔養殖が淡路で盛んに行われているとは知りませんでしたし、また、その方法も詳しく映像化されて、大変興味深いものがありました。ただ、栗山官吏が淡路島にもうしばらく滞在し続けるというエンディングでは、「旅人」にならない気がします。ここは「収穫する頃には連絡してくださいね。私、ボランティアでお手伝いに来ますから。」と締めて欲しかったのは私だけですかね。
 とは言うものの、この手の作品は見ている我々をすがすがしい気持ちにしてくれます。たとえファンタジーであったとしてもね。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • ファンタジー
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