5.0点
この映画は、好き嫌いは別として、 ある意味、究極のタイムトラベル映画と言ってもいい。 なにせ原作「輪廻の蛇」の作者が、SF界の巨匠 ロバート・A・ハインライン。 タイムマシーンを7回も使うため、度々 “タイムパラドックス” が生じ、 それを遺憾なくストーリーに反映させ、衝撃的な事実を導いているからだ。 前半50分間は、映画を見間違ったのでは と思わせるほどSFの匂いがしない。 語られるのは、性転換した男の人生。 性への違和感、 人生を壊した男への憎悪、 自己嫌悪、 絶望、、、 それらが重くのしかかる。 タイムトラベルの ”矛盾” から生まれた一人の人間の物語。 タイムマシーン(時標変界キット)が度々使われるのは、後半から。 それにより、前半の話を裏付け、驚愕の真相を明らかにしていく。 キャストは、 主人公であり、爆弾魔を追う時空警察エージェントにイーサン・ホーク。 顔、声、姿 を変えた迫力の演技を魅せる。 一方、性転換した男を演じたオーストラリアの女優サラ・スヌークの演技も秀逸。 この映画の 臨場感 と 迫真性 は、 二人の演技によるところが大きい。 尻尾を噛みグルグル回る “輪廻の蛇” 。 運命に選択肢はあるのか、それとも定められたものなのか。 タイムパラドックスが、 一人の人間の 年齢、 性別、 感情 を支配していく。 SF、 数奇なロマネスクストーリー、 サスペンス、 それら要素を120%満たした作品。 ファイナル・デスティネーション(最終目的地)が描かれた衝撃のラスト。 自分の尻尾を食べ続ける蛇は、最後は 全てを食い尽くす。 “愛” に飢えた 孤独な人間の、壮絶な人生。 頭をハンマーでガツンと殴られたような衝撃作です!