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ジャスティス・ウォー ~正義の代償~ (2013)

A CERTAIN JUSTICE/PUNCTURE WOUNDS

監督
ジョルジョ・セラフィーニ
ジェームズ・コイン
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2.50 / 評価:20件

名作に化ける可能性もある間違ったランボー

  • kug***** さん
  • 2016年3月16日 23時04分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

 「帰還兵がロクでなしどもを殺しまくる映画」という間違ったイメージが流布されているランボーですが、一度まじめに見てみれば、ロクでなしばかりで自分を殺そうとする警察へと銃は向けても一人も殺してはいません。(重症は負わせてますが) 国のために全てを捨てて闘ったのに、帰ってきたら犯罪者あつかい。戦場で受けた死スレスレの拷問を思い出し、悪夢の記憶のフラッシュバックから自分を嬲って笑い物にしてた警官たちをぶちのめし、脱獄して指名手配され、立て篭もって抵抗するのです。「俺たちはベトナムで、こんな国の、こんなやつらのために戦ったのか?」という憤りを秘めて。

 さて、この映画「ドルフ・ラングレン主演」と広報されていますが、主演は総合格闘家で俳優の「カン・リー」、ラングレンは敵役です。監督は駄目映画の常連「ジョルジョ・セラフィーニ」。同時期、他に2本(しかも、ラングレン主演)映画が出てるくらいのテキトーさなので3本まとめて撮影したんでしょう。

 イラク戦争の帰還兵でPTSDに苦しむ「ジョン(リー)」はスーパーのパートをしながら、モーテルで暮らし。同じ宿暮らしの娼婦「ターニャ(ブリアナ・エヴィガン)」を殴っているチンピラを見つけたジョンは止めに入るが襲ってきた男たちを病院送りにし、一人は殺害してしまう。助けた娼婦は礼を言うどころか「余計なことをした。あんたも逃げないと死ぬ」と怒り、逃げ出す。売春は一帯を仕切る冷酷なギャング「ホリス(ラングレン)」のシノギのひとつだったのだ。
 人助けで殺害までして相手はギャングですが、概ねランボー系のアウトラインの現代版。しかし、色々と足りなくて、余計なところだらけ。
 ジョンは野宿し、戦友の家へと身を寄せてアリバイを作り、シノギを邪魔されたホリスはモーテルの管理人を脅して、ジョンの部屋を家捜し。身元の全てを暴きますが、ボス自らやることじゃない(苦笑)。こういうとこで小者感だすなよ。そして、手下を使ってジョンの家族全員を誘拐し、妹を犯し、一家をライトバンに詰め込んで焼き殺すというやりすぎの報復をします。逆にこういうトコは完全に他人任せという面白いヒト。ジョンは戦友の「JP」を巻き込み、コイン弾と岩塩弾を使って、管理人を拉致して拷問。ホリスの存在を知った彼は麻薬ディーラーや工場を襲って皆殺し。管理人も子供ポルノ愛好者だからと股間を抉った上に鎮痛剤のオーバードーズで殺害のキルマシーンぶり。ある意味、爽快ですが、やりすぎで共感できません。そのくせ、幹部の一人は電気で拷問して吐いたら無罪放免とか「俺が正義」過ぎ。リーは狂人振りが似合う俳優なのでハマっているんですがカケラも哀愁がなく、好感を持てない。警察にマークされながらも、JPを説得して一緒にホリスの屋敷に殴りこむも、あっさりホリスに銃を突きつけられる。それをホリスに銃を突きつけて救うJP。そこにホリスの手下と悪徳警官が出てきてJPに銃を突きつけ、ホリス勝利というちょっと面白いけど間抜けすぎるシーン。元軍人のクセに、この二人はバカで間抜けで無能なんです。岩塩弾やコイン弾、釘爆弾とか戦場で苦しめられたタリバン流ゲリラ戦オモシロDIY兵器を利用しての攻撃は楽しいんですが見せ方も演出も悪いので、普通の銃や爆弾と見た目が全く変わらず、見ている方に脳内補正を求められます。岩塩やコインは足がつかない工夫でもあるのに、そもそもマークされてる。脚本に工夫は見られるのにそれが全く生きてない。ターニャやジョンを追う重い病気の妻を抱える老刑事、はては悪徳警官やチンピラどもにも「ホリスが嫌い」という設定をつけて、人間ドラマを織り込んでるんですが、全部中途半端なのでない方がいいという体たらく。ターニャを自分の傍に戻したホリスに嫉妬する情婦もいつのまにかいなくなる。ピンチのジョンを伏線なしで銃をぶっ放して救いに来るターニャとか酷いものです。しかも、銃をぶっ放したらエンディングまで出てこない。何がなにやら。ドラマをつくろうしてドラマがない実力のなさ。
 結局、JPは惨殺され、あれだけ手下任せのホリスがわざわざ挑発にのって素手のタイマンで倒されるとか、それをボーっと見ているだけの手下と悪徳警官とか、それをいきなり奇襲で皆殺しにするターニャとか、酷すぎる。
 ホリスらを殺したジョンを、妻を看取り、ジョンの元上官と話した老刑事は同情して逃がす。エンディングはそれぞれ別の街へと旅立つジョンとターニャで締めくくりますが、脚本が酷すぎて唖然とするだけです。

 ただ、ラングレンの悪役ぶりが良く、リーとともに格闘アクションはかなりのものなので、それだけは高く評価できるんですが撮影もカット割りも演出も全てがダメでせっかくの良い素材を台無し。この映画、アクションを得意とするまともな監督が脚本を直しながら撮ったら傑作に化けるだけのポテンシャルがあるのが悔しすぎます。

詳細評価

物語
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演出
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音楽

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