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アリスのままで (2014)

STILL ALICE

監督
リチャード・グラツァー
ウォッシュ・ウェストモアランド
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3.61 / 評価:1408件

解説

若年性アルツハイマー病と診断された50歳の言語学者の苦悩と葛藤、そして彼女を支える家族との絆を描く人間ドラマ。ベストセラー小説「静かなアリス」を基に、自身もALS(筋委縮性側索硬化症)を患ったリチャード・グラツァーと、ワッシュ・ウェストモアランドのコンビが監督を務めた。日に日に記憶を失っていくヒロインをジュリアン・ムーアが熱演し、数多くの映画賞を席巻。彼女を見守る家族をアレック・ボールドウィン、クリステン・スチュワート、ケイト・ボスワースが演じる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

50歳の言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、大学での講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に家に戻るルートがわからなくなるなどの異変に戸惑う。やがて若年性アルツハイマー病と診断された彼女は、家族からサポートを受けるも徐々に記憶が薄れていく。ある日、アリスはパソコンに保存されていたビデオメッセージを発見し……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.
(C)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.

「アリスのままで」ジュリアン・ムーアが渾身の演技で語りかける、"自分らしさ"とは何なのか?

 カメラは人物の心理や視線を代弁するもの。例えば、知っているはずの事実を誤認したり、教壇で突然言葉が抜け落ちてしまったのを、まだ、単なる物忘れだと感じている主人公のアリスが、ある日、 ジョギング中に走り慣れた大学のキャンパス内で迷う場面。カメラはアリスの恐怖で歪む顔と、彼女の視界が捉えたループする風景をカットバックで映して、若年性アルツハイマーのおぞましい症状を観客にも体験させるのだ。

 また、映画は時間の経過を画面に描くもの。家族が集まってアリスの50歳の誕生日を祝う冒頭の食事シーンで、アリスが娘たちの話題を自分のことと勘違いするシーンが、言わば第一段階だとしたら、講義中の言語喪失とジョギング中の遭難が第二段階、病名の告知から大学からの退職通告に至る経緯が第三段階、とここまで比較的緩慢に推移していた時間が、最終段階で一気にスピードを上げる。それまで、スマホに「自分の名前は?」「家の番地は?」といった質問を書き込み、それに毎日答えることで消えて行く記憶に上書きを加える等、いかにもインテリらしい合理的方法で病と対処していたアリスが、その瞬間、まるで、急階段を転がり落ちるように変貌してしまう。

 ここで、改めて言いたい。延々12年をまるごとカメラに収めた「6才のボクが、大人になるまで。」、1ショット1テイクと見紛う撮影と編集で観客を欺いた「バードマン」、難病を患った博士とその妻の歴史をラストで一気に巻き戻した「博士と彼女のセオリー」等、偶然か否か、映画に於ける様々な時間の表現がしのぎを削った今年のアカデミー賞で、若年性アルツハイマー患者の症状と心理を、101分の段階演技で表現し切ったジュリアン・ムーアも、今年のオスカーを象徴する勝者だったと。

 そして、ムーアが渾身の演技で我々に届けてくれるのは、いかなる病や環境の変化に見舞われようとも、人は"自分らしさ"を失ってはいけないということ。だけど、そもそも、"自分らしさ"とは何なのか? 実はけっこうあやふやな個性と自我について、アリスはムーアを介して我々に語りかけているような気がする。(清藤秀人)

映画.com(外部リンク)

2015年6月25日 更新

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