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ナイトクローラー (2014)

NIGHTCRAWLER

監督
ダン・ギルロイ
  • みたいムービー 1,806
  • みたログ 3,683

3.83 / 評価:2,488件

プロフェッショナル 仕事の流儀

  • kinematikamechanizmov さん
  • 2015年9月1日 19時59分
  • 閲覧数 897
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

主人公のルイさん。
学歴なーい。定職なーい。人望・友達なーい。元手もなーい。若くしてオワコン人生一直線ですが奇怪な上昇志向と根拠のない自己肯定感だけはみなぎっているような人です。
セコイ窃盗を繰り返しては盗品を故買屋に流して糊口をしのいでいます。
ある日、事故現場でスクープ映像撮影クルーに遭遇、世の中にはこんな仕事があったのか! と卒然と目覚め見よう見真似で人的被害現場専門のカメラマンを開業します。

この映画の凄く良く出来ているところは、ルイさんが盗品を故買屋に持ち込みながら、僕をあなたんとこに就職させてよと平然と売り込む描写が挿入されているところで、良心の呵責や負い目を感じるような種類の人間ではないからこそ、やがて天職と呼べる仕事に出会うべくして出会うわけです。
他人の苦痛・悲嘆・恐怖・絶望を躊躇なくベストアングルで被写体として捉え、コンテンツとして局に行商して回るわけですから、人の心の痛みに共感するタイプの人間であれば、間違いなく精神を病んでしまいます。ルイさん、そういう人間の尊厳とか慈しみとかいったものを感じる部分が、ポコッと抜けてるんですね。

ジェイク・ギレンホールはこんな、他人は自分の踏み台か餌でしかないと考えているルイさんを淡々と演じています。でも能面のような表情の下に、他者への悪意と蔑みと値踏みそして功名心がみっしり詰まっていることが、透けて見えるんですね。

私たちの社会には、こういう悪意でお金が回ったり、安全な場所から他人が他人に向ける悪意を消費したり、他人事として他人の恐怖を求める面が確実にあります。
だからルイさんのような人には、社会からの隠然たる需要があります。彼は彼なりの才覚と努力で、そういう社会に適応し、頭角を表わしていきます。
考えてみれば、本作のような映画に群がる私たち自身が「覗き見報道批判」や「パパラッチ批判」を体のいい口実にこのようなサイコパス・ソシオパスのサクセスストーリーを木戸銭払って安全なところから鑑賞しているわけで、架空の人物による虚構のお話とはいえルイさんのような人を餌にしている、更に悪い人たちとは実は私たち自身に他ならないのかも知れませんね。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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