ギレンホール、最低ッ!
- おりょう@柿の種梅味が好き さん
- 2015年9月5日 9時22分
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ギレンホール、最低ッ!
ヤングジェダイにキャメラ(淀川センセリスペクト)を与えたところ街中大騒動になってしまったのが「クロニクル」なら、「ミッドナイトクロス」のジャック・テリーにキャメラ(淀川センセリスペクト)持たせたのが「ナイトクローラー」だ!または「タクシードライバー」のトラヴィス・ビックルがずる賢くなったのが「ナイトクローラー」だ!トラヴィスは残念ながら賢くなかった。もうちょっと頭良かったらあんなデートをセッティングしない。そんなボンクラの悪あがきに魅了されたわけだったけど。脱線。
※ストーリーは書きませんが何も知らずにご覧になるのがベストなのでご注意願います。
ギレンホールが出てるとしか知らずに観たけど、その怪しい雰囲気からまさかサクセスストーリーだとは露知らずー!
いや、普通の映画だったら、人間的に何かが欠落してたり尖りすぎてる主人公が色々経験して辛酸舐めて、何かに気づいて成長していくわけなんですが、本作は、最低な奴が最低な人間のまま、いやむしろ最低さにどんどん磨きをかけながら、あれよあれよと成り上がっていくんです。それはもう見事に。ルイス・ブルームに失敗はない。調子こいたのび太的なミスなど奴にはない。一分の隙も見せないし敵う奴もいない。
世の中は自分と自分以外に分かたれていて、自分以外はすべて道具だったり下僕だったり金づるでしかない。人の意見など、いや命でさえ、自分のやりたいことの前では邪魔でしかない。その真っ直ぐで飽くなき成功欲と支配欲を惜しみなく振りまいて、自分は成長しないまま世界を曲げてしまう男!
そんな最低な奴なのに随所で共感させられ、最後は僕にガッツポーズまでさせた脚本。死んでしまえ!と思う主人公に共感するなんてなかなかないぞ、こんなえげつなくて素晴らしい脚本がノミネート止まりだったなんて、やはりアカデミー会員どうかしてるぜ!誰かアカデミー会員に巣食う病理を映画化してくれないかな。全力で支持するのにな。
ギレンホールは共同プロデュースも受け持ったほど脚本に惚れ込んだらしく、その脚本に負けじと役者としてもかなり力入ってます!明らかに病んでるけど迷いのない人生を歩いてるルイス・ブルームを怪演!同年代俳優に水を開けた感あり。ひとつの到達点と言える、エネルギッシュかつたまにコミカルな演技を見せてくれます。キャメラ(淀川センセリスペクト)抱えて小股で内股気味に小走りする名演技を見逃すな!
数少ない登場人物の中で、地方テレビ局のディレクターを演じたレネ・ルッソも素晴らしい。短期間だったけど俺たちのお姉ちゃんだった彼女もすっかり大姐御になっちゃた。その姿、そしてこれまた病んでる人を演じた力量はアンジー・ディッキンソンかはたまたジーナ・ローランズか!
それとビル・パクストンも書いておかなきゃ。ジェームズ・キャメロンお抱え俳優とかもう言わせない、自立した大人な演技できるようになったんだね…って今に始まったことじゃないけど、恨み節満タンなズタボロ演技、最高でした。
〜豊作の2015年を彩った本作の早口言葉のコーナー〜
主演ギレンホール、監督・脚本ダン・ギルロイ、ギレンホールと共同プロデュースのトニー・ギルロイはダン・ギルロイの兄、編集はトニー・ギルロイと双子の兄ジョン・ギルロイ、ミスター・ロボットはキルロイ 。
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