ここから本文です

ナイトクローラー (2014)

NIGHTCRAWLER

監督
ダン・ギルロイ
  • みたいムービー 1,443
  • みたログ 3,483

3.84 / 評価:2,428件

資本主義の亡者らが生んだ “真の悪魔”

  • GODOFGOD さん
  • 2015年9月17日 20時40分
  • 閲覧数 3974
  • 役立ち度 39
    • 総合評価
    • ★★★★★

NIGHTCRAWLER       (2014:アメリカ) 
監督:ダン・ギルロイ  (兼 脚本) 
撮影:ロバート・エルスウィット 
編集:ジョン・ギルロイ 
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード 
出演:ジェイク・ギレンホール  (兼 製作)
   レネ・ルッソ
   リズ・アーメッド
   ビル・パクストン 


※ 第87回 (2014年度) アカデミー賞〈脚本賞〉ノミネート

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
《概要・物語》
夜の闇を徘徊し盗品を売り捌き生計を立てる主人公ルイス(ジェイク・ギレンホール)
ふと通りかかった交通事故に群がる報道パパラッチ・通称 “Nightcrawler” の仕事ぶりに興味を抱き、素人ながら自分も始めてみることに。盗んだ自転車を売りビデオカメラと無線傍受器を手に入れ、LAの街で起きた事件事故をローカル放送局〈KWLA6〉の女性ディレクター・ニーナ(レネ・ルッソ)に売り込むことに成功する。
しかしそれは、倫理性を欠いた手法で撮影された残酷で生々しい映像だった。
無知で強欲な新人助手リック(リズ・アーメッド)の失態により飛行機墜落事故のスクープを逃したルイスは、成功の日々から一転して窮地に立たされ、しだいにその行動はエスカレートしていく・・・


・マスメディアの情報戦争、視聴率競争の裏に潜む欠落した倫理観へのアンチテーゼ
・常に刺激を望む偽善的な視聴者(大衆)へのアンチテーゼ
・倫理観が失われた需要と供給によって生み出された犯罪者を描くピカレスク (悪漢)作品
・物語はLAを舞台にローカライズされているが、テーマは多国籍企業や国際犯罪テロリスト(イスラム国・アルカイダ)のようなグローバルな事件の暗喩が散りばめられてある。


ー ー ー ー ー
《感想》
映画は2014年だが、今年2015年のイスラム国日本人人質殺害事件を思い出した。

過激な映像、ひとの不幸、見たことのない光景、
これらを「数字がとれる!」と判断し放送するようなヤ〇ザな商売がマスメディアである。
「この美人は売れる」という芸能界も、テレビ局も、風俗も、何か違いがありますか?

この日本という国は、テレビを盲信する信者が多過ぎる。
北〇鮮とほぼ変わらん。


物語後半の大事件「グラナダヒルズの一家惨殺事件」で、警察に隠していた犯人映像を手掛かりにスクープ続報を得るため警官やリックを駒として“狼”の前に放つ。
その結果、警官は撃たれ、レストラン客は撃たれ、助手のリックを謀殺するという常軌を逸した異常な解決を向かえ、翌朝警察の尋問もやり過ごして、サングラスをかけ署の外に出る。
昼間の警察無線には興味もくれず、のうのうと街を歩く“DAY”CRAWLER
サングラスをかける演出は、光の世界(表の世界)との訣別を表現。

ラストシーンは、新人たちを激励し、2台の新型撮影車両が十字路を分かれてラストカット。
興味深いのは、十字路の画の構図を斜めにして、X (エックス) に見せるところ。
2台の車は北西と北東にそれぞれ分かれ画面上部に進んで小さくなっていく。

十字やXは、キリスト磔刑の象徴で、悪魔に魂を売りイエス・キリスト(倫理)を裏切った者と社会へのアンチテーゼを表現。
・キリストの省略化:Christ→X
・クリスマス(キリスト生誕祭):Christmas→X'mas

エンドロールは「月と、山に立つ電波塔の夜景」が背景。

この「月と塔」のアイコンは世界的に有名な、
『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』の公式ポスターと同じ象徴であろう。
大衆を洗脳煽動した狡猾な魔法使いの塔
欲望と争いの輪に全てを繋ぎとめる冥王の目が監視する塔
そして、月は虚飾の世界。
巨大な宗教によって世界は都合よく線 (国境) がひかれ、箱庭をそれぞれ監視している。


一番怖いのは、主人公個人の倫理観ではなく、それを「仕事」と正当化する世の中が一番怖い。
イスラム国の仕事でどれだけの連中が儲けたであろうか?
事故や事件、災害を、広告に利用する企業の倫理観は?


観葉植物を育てる主人公。
水を得て生きる植物は、情報にとらわれた現代人(主人公)のメタファーで、合理的で感情のない機械や人工知能の象徴としても描写されている。
誰もが、カメラ付き高性能端末(スマホ)を持つ時代、誰もが主人公のような悪魔になりえる可能性を秘めている。
あるいはそれを造り出す亡者か。

主人公の盗みが、物から情報に変わっただけだが、得たものは富と名声。
夜が、偽りの光で明るいのは腐敗した社会の象徴でもある。


禁断の果実をかじらせ、アダムとイヴを誘惑したサタンはこの宇宙の闇のどこかに存在している。
神に反逆する機会を待ちながら──

故に、ラストの十字路は含みを持つ。


表層の物語(報道) →政治(社会問題) →宗教
作品の本質を掘りすすめたら、結局これに辿り着くのだ。

脚本、演出、演技、撮影、編集、音楽、いずれも高水準で仕上げられた傑作であった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • スペクタクル
  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 知的
  • 絶望的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ