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ナイトクローラー (2014)

NIGHTCRAWLER

監督
ダン・ギルロイ
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  • みたログ 3,884

3.83 / 評価:2,529件

サイコパスのサクセスストーリー

  • but***** さん
  • 2015年10月6日 20時45分
  • 閲覧数 816
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

 8月16日、横浜ブルグ13で見てきました。予告では分からなかったけどサイコパスが主人公の「サイコパス成り上がり物語」でした。
 いやーサイコパスが主人公の映画って何故だか私の中二病な部分をビンビン刺激してくるんですよね。遠出した甲斐がありました。
『マッドマックス 怒りのデスロード』を見て以降は、どうせ今年はこれ以上の映画は見ることができないんだ、と消化試合を見るときのような沈んだ気持ちだった私にとって、嬉しい誤算でした。

 フリーのカメラマンが金の為に夜のLAを彷徨い過激な映像を撮影していくというストーリーで、予告だけみると狂っているのは報道の世界か?それとも主人公か?みたいな感じですが、狂っているのはぶっちぎりで主人公でしたw

  この主人公は、まぁ有り体にいうとサイコパスです。しかもこれが地に足がついたというか、リアリティをもって描かれたサイコパスです。
 地に足がついたサイコパスというのは、今までサイコパスが主人公の映画だと決まって猟奇的な殺人かアクションがハッピーセットの如く一緒に描かれてきたのですが、この映画の主人公は元CIAでも無ければガンフーを会得した元殺し屋でもありません。ただの無職な(窃盗はするけど)青年です。最初から最後まで主人公は人を殺しません。

 サイコパスとはフィクションに描かれるような殺人者や知能が異常に高い人間や社会的地位の高い人間だけではなく、むしろこの映画の主人公のように社会と上手く折り合いがつかず生活を送っている普通の人(?)の方が多いそうです。
 そういった意味では本作は「現実にあり得そうな範囲のサイコパス成り上がりストーリー」という新たな(?)ジャンルを開拓したのではないでしょうか。やったね!
 
 以前から、主人公=ヒーローに求められる要素とサイコパスに見られる特徴の一部が一致しているのではないか?だからこそ人は(特に男性は)サイコパスっぽい登場人物に魅力を感じるのでは?と考えていたのですが、本作を見てその考えがより正しいものであることを確信しました。

 ヒーローである条件の一つに「純粋である」というものがあります。純粋であるとはつまり「自分の行動にほとんど疑問を持たない」ということです。

 例えばドラゴンボールの孫悟空は敵を殺すことを躊躇うことはあっても、暴力そのものに対して疑問を持つことはありません。
「オラ暴力で物事を解決するなんて最低だ」
なんてことを考えることはあり得ません。そんなことをすれば物語が成立しなくなるし、主人公=ヒーローとしての資格を失うことになるからです。
 (映画ダークナイトで主人公のバッドマンよりもジョーカーの方が格好良く見える原理はそこにあります。ジョーカーは悪事に対して悩んだりしません)

 一方サイコパスも悩むなんてことはしません。目標を決めたら一直線で進んでいきます、例え人が死のうとも。ある意味「純粋」と言い換えてもいいでしょう。
 人は現実世界にないものをフィクションの中に求めます。人は現実世界では常に何かに悩まされ続けます。
 ところがサイコパスは悩みなどどこ吹く風で、目標に対して関係のないものはバッサリと切り捨てていきます。
 ミニマリズムの極地、断捨離の極地、こういった生活に憧れない人(男性)はいないのではないでしょうか。

 などと小難しいことを考えなくても本作は主人公のイカレっぷりを見ているだけで十二分に楽しめる映画です。未見の人は是非映画館でみることをおすすめします。ラスト付近のシーンなんて下手なアクション映画やサスペンス映画の何倍も緊迫感があり、すごい良かったです。

中でも私の中二病心を一番くすぐった場面は主人公の日常生活の描写でした。淡々と孤独な生活を送っているのだけれど、行動の端々からその異常性が見え隠れする描写。
 似たような描写は、古くはスコセッシの「タクシードライバー」、最近だと去年公開されたデンゼル・ワシントン主演の「イコライザー」でもありましたが、それに勝るとも劣らない描写・演技でした。
この映画はアメリカだと2014年公開なので、2014年は本来、本作「ナイトクローラー」+前述のデンゼル・ワシントンの「イコライザー」+日本だと今年の10月公開のキアヌ主演の「john wick」と合計3本も素晴らしいサイコパス(的な男が主人公の)映画が公開されていたことになります。
 くそー、日本で同時期に公開されていればこの三作品を映画館で連続でみるという「サイコパス映画はしご」ができたのに。こんなに素晴らしい映画を最近まで公開しなかったなんて、日本の配給会社は一度消滅したほうがいいのではないかと本気で思いました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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