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ザ・デッド:インディア
2015年1月10日公開無料配信

ザ・デッド:インディア

THE DEAD 2: INDIA

942015年1月10日公開

ana********

4.0

ネタバレのろのろゾンビ映画の傑作!

年明け一発目に映画館で観るのがこれでいいのかって話ですが、私前作の『ゾンビ大陸アフリカン』(←ひどいタイトルだけど、続編なら今回も邦題を『ゾンビ大陸インディア』にして欲しかったようなして欲しくなかったような…)が、近年まれに見るゾンビ映画の傑作だと高く評価しているので、その続編っとあっては何を置いても観なくてはなりません。 私はロメロ派ゾンビ、つまりのろのろゾンビ派なんで、ハワード・J・フォード&ジョナサン・フォード兄弟のこの感性がぴったりくるのです。 近年すっかり説教臭くなってしまったロメロ御大に対して、こちらの兄弟、説教臭くなく、しかし、さりげなく深いものをこちらに示唆してくれる感じがいいですね。とにかく押しつけがましさがない。 そうなんです。ロメロ御大はゾンビが高く評価されて以降、ゾンビとは社会風刺であり哲学的で高尚でなければならないのだ!っと変に力みすぎている感があるんですが、この兄弟はあくまでさらっとしてる。さらっとしてるけど、ゾンビが存在する世界をリアリティある姿で描いてくれる。 そしてのろのろゾンビの持つ怖さを遺憾なく発揮してくれる類い希なる監督なんですよ。 ゾンビという脅威にさらされ、極限状態に追い詰められた人間の姿を克明に描くからこそ、結果的になんらかの真実をあぶりだすのであって、それを抜きにしてテーマを前面に押し出すようなことはしなくていいのです。 のろのろゾンビの怖さはひとえに焦燥感。 兎と亀の競争のように、一見兎である人間が優位にみえるのだけど、気を抜けばたちまち立場が逆転する。走り続ける兎は休まなければならないけど、ゾンビである亀はその間も地道にやってくる。フォード兄弟はそのじりじり感を描くのがとても巧いのです。 今回も心拍数あがりっぱなしでした。 ロメロ御大は『ワールド・ウォーZ』の時に、評価するゾンビ映画として『ショーン・オブ・ザ・デッド』をあげていましたが、勿論、これも大変な傑作ではあるけれど、同じくらい『ゾンビ大陸アフリカン』を評価して欲しかったですね。御大の種子を確実に受け取っているのはこの作品に他ならないと思うのですが。 今回は冒頭、徐々にはじまる不穏な空気という演出がすごくよかったです。『ショーン・オブ・ザ・デッド』も不穏な空気を描くのが上手でしたが、そういう演出が優れた作品はいいですね。 あと、一見おだやかなシーンでも、つねに遠い背後にはふらふらと歩いてくるゾンビの姿が写し混まれているあたりも素晴らしい。終始こういう不穏さを感じさせる演出がとても好きです。 本来、私は「もうすでにゾンビが存在する世界」という前提で作られる物語の方が好きなんです。今更「死人が生き返った?まさか!?」「「どうやったら殺せる?」等のお決まりのやりとりを観るのがかったるい訳ですが、例外的に『ショーン・オブ・ザ・デッド』とこの作品はゾンビ出現前の不穏さが効果的に描かれているので良いと思います。 作品の出来は実は前作の方が好きというか、前作はアフリカの広大な大地をひたすら逃げる絶望感みたいなものがあったんですが、今回はインドが舞台なんでアフリカに比べるとその広大さが若干落ちる感じですね。 でも、舞台上の好みの問題で映画の出来としては今回も遜色ありません。 ことに、私は時々ゾンビの悪夢にうなされることがあるのですが、そのシチュエーションのひとつとして、ゾンビの頭上すれすれを飛ぶというのがあって、「ああ、これ、まさに私の悪夢!」って感じのシーンがあって良かったです。 ところどころ予想を裏切る展開もありちょっと面白かったです。親子再会の感動シーンとか当然あるのかなーっと思ったらないとかね。 オチも今までにない感じで良かったです。 ちなみに主演のジョセフ・ミルソンはイケメンです。 こんな傑作なのに『未体験ゾーンの映画たち2015』という企画でしか上映されないのはまことに残念でございます。 フォード兄弟には是非もっとメジャーになっていただきたいですね。 さて次作は『ゾンビ大陸チャイナ』かな?

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