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岸辺の旅 (2015)

監督
黒沢清
  • みたいムービー 205
  • みたログ 1,031

3.12 / 評価:776件

ユーモアたっぷりの叙情的純愛映画

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2020年3月21日 14時58分
  • 閲覧数 308
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

なんかここ見に来てみたら、みなさん黒澤清ということで最初から、芸術性みたいなものとか、意外性とか、ゾッとする恐怖感とか、そういうものがあるにちがいないと決め込んで見ておられるようですけど。

 私はこれ、もし分類するとしたら「ラブコメディ」の一種と見るのが妥当じゃないかなと思います。ユーモラスな純愛映画。
 へー、黒澤清って人はこんなユーモアたっぷりの、しかも叙情的な映画を撮ることもできるんだ、とちょっと彼のことを見直した映画でした。

 これ以外の大半の黒澤清作品はわたし嫌いなもんで。

 だいたい冒頭の、優介(浅野忠信さん)の幽霊が靴のまま家に入ってきて、「あ……」といって脱ぎに行くとか、妻の瑞希(深津絵里さん)と旅行するのに優介は免許証がないから電車で行こうとか、幽霊が駅員に「すいませーん」といって行き先を尋ねるとか、何もかもふざけてますよね。
 爆笑するような笑いじゃないけど、なんか「おいおい」と心の中でツッコミ入れてしまうようなユーモラスさ。
 それが、全編にちりばめられてるのが楽しいです。

 だいたい幽霊映画では、幽霊は特定の人にしか見えないっていう設定が普通ですけど、この映画ではすべての人に見えて、聞こえて、会話もできて、料理したり物を運んだりもできて、眠っても朝目が覚めたらちゃんとそのままベッドで寝てて、おいおいこれじゃあ全然死んでねーじゃん、死んだ人が化けて出たんじゃなくて、ちょっと行方不明だった人が帰ってきただけじゃん、と心の中でツッコミまくりましたが。
 コメディだと思えばそのへんは笑ってスルーして見てればいい。冗談の一種ですから。

 そういうユーモアを随所に入れながら、しかし全体の作りは、死別した夫をどれほど愛していたかを幽霊とのやりとりのなかであらためて確かめるという、叙情的なラブストーリーです。
 別に涙を流すほど感動はしませんでしたが、こんな夫婦っていいなー、としんみりとしながら見終えました。

 あ、でも、ブルグミュラーの「天使の合唱」の全曲を少女の幽霊が弾いて瑞希が涙を流すシーンがありますが、このありふれた子供のための練習曲が、こういうふうに演奏されるとこっちも思わず涙ぐみそうになりましたね。
 音楽の使い方のセンスがいいなあ、と思いました。

 白状すると、展開がゆっくりしすぎていて途中で何箇所か、居眠りしたのも事実ではありますが。

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