2015年6月6日公開

エレファント・ソング

ELEPHANT SONG

1002015年6月6日公開
エレファント・ソング
3.4

/ 210

17%
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(34件)


  • つとみ

    4.0

    「不在」であることが存在を主張する

    ある精神病院の患者であるマイケルと、精神病院の院長であるグリーン。二人の意思と駆け引きが重厚な今作はサスペンスに富みつつ、「愛」をめぐる苦しみと救済の映画でもある。 まず、導入部が良い。病院の経営者がグリーン院長と面談する導入は「全てが終わった後」という時間軸だ。 「マイケルを担当していた医師が失踪した」という事件と、「その後さらに病院で起こった出来事の顛末」を聞き取るシーンで、既に二つも謎が提示される仕掛け。 時間を行ったり来たりしながら、謎に迫るこの仕掛けが、ラストまで来るとまた違う意味を持つ。 さらに色調が良い。全体が薄い緑色に染まったような病院の雰囲気。ナースのカーディガンも緑、グリーン院長のカップも緑、そもそも院長は名前も「グリーン」。そんな緑色の世界でマイケルのジャケットは赤みがかって目を引く。 コントラストがマイケルを際立たせ、不穏さをまとわせながらも美しく引き込まれる。 冒頭に書いた「愛」をめぐる苦悩もまた、「愛されたい」のに「愛されない」マイケルと、「愛していた」のに「愛すべき相手を失った」グリーン院長の対比になっている。 二人の「愛」に対する現在の状況も対比だ。 マイケルは精神病院の問題児だが確かに「愛されている」。ただし、それはマイケルの求める形ではない。マイケルの望む形がどういうものなのかは明示されないが、マイケル自身は「自分の求める愛の形」が病院では叶わないことに絶望してしまったのだと思う。 退院か死か。飄々として見えるマイケルだが、その渇望は既に限界を迎えつつあった。 一方のグリーン院長は「愛されること」を重荷に感じている。彼の愛を必要としているオリビアがいるのに、グリーン院長は彼女に向き合おうとしない。 クリスマス休暇を病院で過ごすことに安堵しているようなグリーン院長の態度に対抗するため、オリビアは職場に電話をかけたり、暖房の修理を頼んだり、果ては病院にまで訪ねて来るのである。 側にいて欲しいオリビアから逃げるグリーン院長。彼が逃げたかったのは、愛すべき相手を失ってしまう苦痛だ。 注意深く幾重にも強調されるマイケルとグリーン院長の二項対立。その対立が映画が進んでいく過程で絡まりあい、マイケルが言うように「心が通じあって」くるのだ。 表面的にはとても通じあっているようには見えないのに、確かにそう感じる。 狭い部屋の中で、マイケルはくるくると部屋をかき混ぜるように移動し、グリーン院長の心もかき混ぜようとする。 真なる目的のために、グリーン院長を翻弄するマイケル。マイケルが目的を遂げた時、図らずも「心が通じあって」いたグリーン院長にも変化が訪れる。そしてそれはマイケルの求めた「愛」を再び手にする道を切り拓いた。 親から与えられる無償の愛。運命の相手と育む至高の愛。マイケルが渇望し、グリーン院長の手のひらからこぼれてしまったもの。 表面的になぞると大したことない話のように思えるのに、幾重にも重ねられた演出と俳優の演技がシンプルなストーリーにダイナミックな感情の振り幅をプラスしている。 「愛し愛されること」を「愛」という核心をあえて「不在」にすることで際立たせる手法はお見事としか言い様がない。 チョコレートの箱に空のスペースがあることで、むしろそこに入っていたはずのチョコレートが目立つように。 心理サスペンスとしても見応えがあるが、ヒューマンドラマとしても一押しの美しい映画だ。

  • d

    3.0

    ネタバレ最後のマイケルの行為の意味

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • mey********

    4.0

    死に取り憑かれた青年

    象の密猟の場面はショック。 あれを8歳でしかも目の前で見れば心病むと思う。 その上、母親も自殺とか。息子に言葉一つ残さず。 生きることを強制することの方が残酷。 楽になれて良かったね。

  • fg9********

    3.0

    監督もドラン自身がやって欲しかった

     …『トム・アット・ザ・ファーム(2013)』、『Mommy/マミー(2014)』とグザヴィエ・ドラン監督作品を観てきて、ある解説に『もともとは4歳で子役としてデビューし、俳優としては長年のキャリアと実績を持つドランが、本作の脚本を読んで「この主人公は僕そのものだ」と出演を熱望。』した作品とあったので観てみる。   …あらすじは、解説のとおり。 ある日、ひとりの医師が精神科病院から不意に失踪する事件が発生する。  彼が担当していたのは、病院内でも最大の問題児であるマイケル(グザヴィエ・ドラン)という青年患者だった。  14歳の時、自分の目の前でオペラ歌手の母親が自殺を遂げて以来、マイケルは精神障害を起こし、長年この病院に収容されていたのだった。  院長のグリーン(ブルース・グリーンウッド)は、担当医が失踪した事情をマイケルから聞き出そうと試みるが、マイケルは嘘とも真実とも知れぬ無駄話を延々と繰り広げて院長を翻弄するのだった。  話しの展開は、グリーン院長部屋でのほぼ二人だけの密室劇の様相で進んでいく。  そこに、マイケルの回想の形で、偉大なオペラ歌手の母親が、「三度、音を外した……」としてマイケルの目前にて自殺を企てたシーンと、ハンターの父親が象を射殺したシーンが挿入される。  劇中で、人間以外の動物で感情で涙を流す動物は象だけだと言われていたが、父親が倒れた象にトドメを射す寸前の象の涙は切なかった。  この二つのトラウマがマイケルの精神を倦ませたことに間違いはないだろうが、隠喩・暗喩を駆使してグリーン院長を手玉にとるドランの演技に魅せられる。  そこにグリーン院長の元妻で看護師長であるピーターソン(キャサリン・キーナー)が加わるが、二人の距離間も微妙に歪みが生じていて興味が尽きないストーリー展開だ。  で、マイケルは、失踪した医師とは性的虐待があったことも臭わすのだったが、どこまでが本当でどこからが嘘なのか虚々実々の弄言を繰り返し、より一層、グリーン院長の心を弄ぶのだった。  で、本当の話しを知りたかったら、自分から出す三つの条件を呑めとグリーン院長に言うのだった。  その条件とは、次の三つだ。  1.僕のカルテを読まないこと。  2.ご褒美にチョコレートをくれることを約束すること。  3.看護師長をこの件から外すこと。  2.の条件はなんとも子供こどもした条件だったが、ここがマイケルの計算され尽した精神病院を脱出する最後の切ない切り札だったのだ。  なかなかの結末に心惹かれるものはあったが、医師たる者が、「1.僕のカルテを読まないこと。」という条件を呑むことには若干の違和感を覚えてしまった。  また、ドランがフランス語ではなく英語を喋っていることにも多少の抵抗があり、更に言えば、監督もドラン自身がやって欲しかったので☆一つ割り引かせて貰った。

  • ain********

    4.0

    ストーリー展開がいい

    自分にとっては斬新な進行でした。 また精神科という、相手の人間が 未知の領域なので、想像しにくいのも 拍車を掛けて、次はどうなるんだろう というワクワク感も拍車を掛け、 楽しみ観れた作品です。 何もなかったのか、それとも事件なのか、 想像力が膨らむ中の展開・・・ いやあ脱帽ものです。

  • kec********

    3.0

    この手

    この手の映画がなぜこんなに好きなんだろう でも、この世界観がわからない人と愛しあえた方が幸せなんだろうな、と思う。

  • mamiyakko

    5.0

    ネタバレ泣いちゃった(Тωヽ)

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • MOON

    4.0

    ネタバレ切ないよ・・・

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • oce********

    3.0

    意味あり気

    精神科医と患者が話しかける。 医師の失踪に唯一関わっているとされる精神病のマイケル。 院長のグリーンは問いただすが、マイケルは話を交わしていく。 看護師のピーターソンはマイケルの作り話に惑わされるなと助言をする。 真実かウソかという類いだが、思ったよりもそういう騙しの展開は迫ってこない。 むしろこの3者の過去こそ描きたい部分だろう。 話的には上手くぼやかして終わった印象であり、スッキリとは程遠い印象で終わる。 モヤモヤ感が好きな人は見て損ないかも。

  • sol********

    1.0

    何かが足りない

    ものすごく面白くなりそうなのだが、そうはなっていない。残念。

  • tkt********

    2.0

    スリラーでもサスペンスでもない

    途中までのドキドキ感を返してほしいラストでした。

  • いやよセブン

    4.0

    精神科医と患者

    精神病院の院長(ブルース・グリーンウッド )と嘘つきの患者(グザヴィエ・ドラン)が、行方不明のドクターについて対決する。 患者の目的は最後まで明かされないが、院長があまりにも無防備で、これじゃ取り込まれるのも致し方なし。 看護師長の方がしっかりして見えるのは、無理があるからかな。

  • 柚子

    5.0

    ミスリードの面白さ

    グザヴィエくん好きなので、公開初日の一番乗りで見に行った 物語が、あらぬ方向へ着地 えっ?と、呆気に取られたまま、エンドロールになったので、間、3、4日空けたレディースデーにもう一回見に行って、じーっとグザヴィエくんの顔付きを見ていた(^-^; レンタルが出ていたので、また借りてみた 主人公は自分そのものというグザヴィエくんの発言は、正直心配にはなるけれど… 監督は二人いらないと、言われたらしい 出演のみに、すべてを捧げた 微妙な表情をくみ取りながら見ると、二倍楽しめたりする (そんな見方は、ファンだけね…)

  • fpd********

    4.0

    グザビエ・ドランが光ってる

    監督としてのグザビエ・ドランの作品もするどいものがありますが、役者としてのグザビエ・ドランは、今回、出演を熱望しただけあって、楽しんでるし、光ってますね。ストーリーの展開に肩透かしを食らった感はありますが、マイケル役グザビエ・ドランと院長役ブルース・グリーンウッドの心理劇は見ものです。そこに看護師長役の実力派キャサリン・キーナーが二人に絡んで、サスペンスが深まり、引き込まれました。

  • sak********

    4.0

    グザヴィエ・ドランの演技あっての映画

    グザヴィエ・ドラン の演技が光ってました! 結末は想像とは違ったオチだったのでそれはそれで面白かった。 もっと狂気的なサスペンスを期待していたのでその部分が少し物足りなかったかな。 主演の少年がグザヴィエ・ドランじゃなかったらもっと評価落ちたかも、って思う位良い演技だった

  • スーザン

    5.0

    われらがドラン、はじけてます。

    嬉々として演じてるなあ。 閉ざされた空間での会話劇サスペンスとして見応えたっぷりの脚本だ。 自由自在にグリーン医師を挑発するマイケル。 時に見透かしたように、時に感情を爆発させ・・・。 観る側も、いったい何処へ着陸するのかと彼に翻弄される。 そして途中から失踪事件は大した問題ではなさそうだと感じてくる。 これはマイケル自身の問題だ。 伏線がある。 協力する代わりにグリーン医師に出した三つの条件。 僕のカルテを、見ない事。 ご褒美に、チョコレートをくれる事。  看護師長のピーターソンを、外す事。 辛く孤独でさみしい魂。 ドランが出演を熱望したわけがよく分かる。 役柄が合っていないという意見もあるが。 だが、やっぱりドランだ。 ちょっと不自然なくらい、”もっとボクにかまって”風な甘えた演技が好きだ。 そしてその青臭さをブルース・グリーンウッドとキャサリン・キーナーが補う。 特にキャサリン・キーナーは、その立場と心情とが見事に表現され、出演者の中では一番の存在感である。 余韻も良い。 次回はやはり監督作が観たい。

  • ohk********

    3.0

    ネタバレ胸が締め付けられる想い

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • kps********

    3.0

    ネタバレ俳優ドラン

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • mus********

    3.0

    ママ、”象の数え歌”うたおうよ

    いま、映画界で最も注目されるグザビエ・ドランが主演俳優として参加した本作。監督はシャルル・ビナメという人がやってます。僕個人としては、グザビエ・ドラン自身が監督もやってほしかったところなんですが…… 物語は、とある精神病院が舞台です。ある日、この病院で、医師の失踪事件が起こります。新聞でも大きく報じられ、病院側は、この事件の真相を探るべく査問会を開きます。 失踪した医師が担当していた患者、それがマイケル(グザビエ・ドラン) 真相については彼が何かを知っているはず。 マイケルと失踪した医師との間に、何があったのか? 病院長で精神科医のグリーン院長(ブルース・グリーンウッド)は、真相を解き明かすべくマイケルとの対話を試みてゆきます。 本作では主に、マイケルとグリーン院長、二人の密室劇として描かれて行きます。 マイケルの母親は世界的なオペラ歌手でした。そのため演奏旅行ばかりの日々。マイケルは子供の頃から、母の愛をほとんど受けることなく育てられました。彼自身の言うところでは、子供の頃から寄宿舎に入れられていたとのこと。 マイケルは母親の旅行先、そのひと時のアバンチュールで生まれてしまった、望まれることのない子供でした。 その母は、マイケルの目の前で自殺。横たわる母親、たったひとりの愛おしい息子、マイケルを前に、彼女が残した最後の言葉は「三度、音を外した……」でした。彼女は息子よりも、オペラのことが気がかりだったのでしょうか? 当のマイケルは、横たわる母の前で「象の数え歌」を歌っていました。この一件以来マイケルは精神病棟に収容されたのです。 マイケルの父親は一度、彼をアフリカに連れて行ってくれました。 父親はハンターです。獲物を求めてサバンナをジープで駆け巡ります。幼いマイケルは、父親が猟銃で、象を撃ち殺すところを目撃します。 象の眉間に撃ち込まれた二発の銃弾。流れる血。ズサっと横たわる巨大な体。しかし象はまだ生きていました。 マイケルは死にゆく象の瞳を見つめます。まばたきする象の目。何を訴えたいのだろう? 象の瞳の奥に、深い、広い世界が広がっているかのようです。 父親は、倒れた象に「トドメを刺す」ため、もう一度、銃口を象に向けるのです。 その時マイケルは叫びます。 「NO!!!」 無情にも引き金が引かれます。 サバンナに響く、一発の乾いた銃声、その音はいつまでもマイケルの耳に残ります。 この一連のシーンは、マイケルの回想シーンとして語られます。 彼は院長、そして観客である我々にも、さまざまな「なぞかけ」をかけてきます。 マイケルの発言の中に「無用の長物」という言葉が出てきます。 その時、字幕の中に「エレファント」というルビが振られているのを目にしました。辞典で調べてみると、正確には「White elephant」白い象!? それがなんで「無用の長物」と呼ばれるのか? ちなみにYahoo知恵袋で検索しますと、「その昔、タイの王様が見た目の悪い白い象を敵側に送った故事に由来する」とのこと。 友好の印に送られたはずの白い象は、世話をするにも大変な手間がかかり、送られた側は、維持費がかさんで、とうとうギブアップしてしまった、という逸話があるのだそうです。 これは、本作において重要なキーワードでしょう。 つまりは、マイケル自身が精神病院に送られた、望まれない「白い象」ホワイトエレファントな訳ですね。 精神病院側はもう、彼の処遇に困るわけですね。ついには病院を破綻させかねない。その心配は現実のものとなります。 だから、彼の発する言葉の「象徴」するものであったり「暗喩」「隠喩」などに注意を払わねばなりません。院長との二人芝居は、緊迫した心理戦でもあります。しかしマイケルはいつもどこか、ふざけた態度をとります。まともに答えようとしない。グリーン院長の心をもてあそぶように、彼は言い放ちます。 「僕と取引したいのかい? だったら僕が出す条件は三つだ」 その一つが、なんと「チョコレート」をくれること、なのです。 実はこの、他愛もないチョコレートの要求が、後にとんでもない事態を引き起こすことになろうとは。 複雑怪奇なマイケルの精神世界、そこはまるで底なし沼なのか? あるいは巨大迷路なのか。 僕には彼自身が「虚無」な「無の坩堝」とでもいうべき存在に思えてなりませんでした。

  • 高原

    2.0

    ネタバレ小さなネタを精一杯膨らませた感

    このレビューにはネタバレが含まれています。
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