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エレファント・ソング
2015年6月6日公開

エレファント・ソング

ELEPHANT SONG

1002015年6月6日公開

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3.0

監督もドラン自身がやって欲しかった

 …『トム・アット・ザ・ファーム(2013)』、『Mommy/マミー(2014)』とグザヴィエ・ドラン監督作品を観てきて、ある解説に『もともとは4歳で子役としてデビューし、俳優としては長年のキャリアと実績を持つドランが、本作の脚本を読んで「この主人公は僕そのものだ」と出演を熱望。』した作品とあったので観てみる。   …あらすじは、解説のとおり。 ある日、ひとりの医師が精神科病院から不意に失踪する事件が発生する。  彼が担当していたのは、病院内でも最大の問題児であるマイケル(グザヴィエ・ドラン)という青年患者だった。  14歳の時、自分の目の前でオペラ歌手の母親が自殺を遂げて以来、マイケルは精神障害を起こし、長年この病院に収容されていたのだった。  院長のグリーン(ブルース・グリーンウッド)は、担当医が失踪した事情をマイケルから聞き出そうと試みるが、マイケルは嘘とも真実とも知れぬ無駄話を延々と繰り広げて院長を翻弄するのだった。  話しの展開は、グリーン院長部屋でのほぼ二人だけの密室劇の様相で進んでいく。  そこに、マイケルの回想の形で、偉大なオペラ歌手の母親が、「三度、音を外した……」としてマイケルの目前にて自殺を企てたシーンと、ハンターの父親が象を射殺したシーンが挿入される。  劇中で、人間以外の動物で感情で涙を流す動物は象だけだと言われていたが、父親が倒れた象にトドメを射す寸前の象の涙は切なかった。  この二つのトラウマがマイケルの精神を倦ませたことに間違いはないだろうが、隠喩・暗喩を駆使してグリーン院長を手玉にとるドランの演技に魅せられる。  そこにグリーン院長の元妻で看護師長であるピーターソン(キャサリン・キーナー)が加わるが、二人の距離間も微妙に歪みが生じていて興味が尽きないストーリー展開だ。  で、マイケルは、失踪した医師とは性的虐待があったことも臭わすのだったが、どこまでが本当でどこからが嘘なのか虚々実々の弄言を繰り返し、より一層、グリーン院長の心を弄ぶのだった。  で、本当の話しを知りたかったら、自分から出す三つの条件を呑めとグリーン院長に言うのだった。  その条件とは、次の三つだ。  1.僕のカルテを読まないこと。  2.ご褒美にチョコレートをくれることを約束すること。  3.看護師長をこの件から外すこと。  2.の条件はなんとも子供こどもした条件だったが、ここがマイケルの計算され尽した精神病院を脱出する最後の切ない切り札だったのだ。  なかなかの結末に心惹かれるものはあったが、医師たる者が、「1.僕のカルテを読まないこと。」という条件を呑むことには若干の違和感を覚えてしまった。  また、ドランがフランス語ではなく英語を喋っていることにも多少の抵抗があり、更に言えば、監督もドラン自身がやって欲しかったので☆一つ割り引かせて貰った。

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