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ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~ (2014)

GET ON UP

監督
テイト・テイラー
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3.98 / 評価:371件

解説

ソウルミュージック界のレジェンド、ジェームス・ブラウンの伝記ドラマ。類いまれな音楽的才能に恵まれ、ミュージックシーンに新風を巻き起こした彼の軌跡を追う。監督は、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』のテイト・テイラー。『42 ~世界を変えた男~』などのチャドウィック・ボーズマンが主演を務め、ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーがプロデューサーなどに名を連ねている。白熱のライブシーンはもちろん、ブラウンに成り切ったチャドウィックの熱演も見もの。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

親に捨てられ、劣悪な環境で育ったジェームス・ブラウン(チャドウィック・ボーズマン)。その後、窃盗の罪により刑務所に入れられてしまうも、無二の親友と出会い、出所後は音楽の世界へ進出。少しずつヒット曲も生み出し、ブラウンの名は次第に世間に広まっていく。一方で、妻や自分を捨てた母親との関係、親友のボビー・バード(ネルサン・エリス)との意見の食い違い、ミュージシャンらとの諸問題など、ブラウンには頭を悩ます事案が常につきまとい……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Universal Pictures (C)D Stevens
(C)Universal Pictures (C)D Stevens

「ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男」時代を揺さぶり続けたJBの魂。その光と影を濃密に描く

 ドラマチックな人生。功成り名を遂げた人物の生き様はたいていそう評されるが、ファンクミュージックを確立した希代のエンターテイナーにしてショービジネスのイノベーターでもあったジェームス・ブラウンの生涯ほど「劇的」で、2時間の映画を濃密に構成し得る波瀾万丈と喜怒哀楽が詰まった例は珍しいのではないか。

 独特のグルーヴに乗ったファンキーなボーカルと扇情的なシャウト、高い身体能力から繰り出すキレキレのパフォーマンスで聴衆を熱狂させていく様子を、「42 世界を変えた男」のチャドウィック・ボーズマンが入魂の演技で表現。ビジネスの才覚も早くから発揮したJBが、白人のレコード会社社長やマネージャー(「ブルース・ブラザース」でJB本人と共演したダン・エイクロイドがいい味)と対等に渡り合い、反対されたアポロシアターでのライブ録音を自腹で強行して大ヒットさせる過程もテンポよく描き出す。

 フラッシュバックで断片的に語られるのは、米国南部で生まれ育った1930年代から40年代、極貧の家庭で父に殴られ、母に捨てられ、窃盗で収監されるといった底辺の日々。だが服役中に出会い長年の盟友となるボビーとバンドを組んだことで、スターへの道を歩み始める。世界的なヒットを連発するようになったJBは、公民権運動が高まるなか黒人社会への影響力を増す。68年にキング牧師が暗殺された日の翌日に敢行したボストン公演で、興奮して次々にステージに上る黒人観客たちと白人警官隊が一触即発となる場面は緊迫に満ち、今まさに眼前で進行中の歴史的大事件を目撃している気分になる。

 テイト・テイラー監督は、前作の「ヘルプ 心がつなぐストーリー」と同様、時代の空気感を忠実に再現しつつ、人種差別が当たり前の社会にあらがい常識を打ち破る改革者を描く。ただし、JBという巨星が放つ強烈な光だけでなく、バンドメンバーや家族ら周囲の人々を専横とDVで苦しめ傷つけた影の部分にも、敢えて踏み込む。時折JBがカメラ目線で映画の観客に直接語りかける手法は、演者を通じて「こんな生き方、君はどう思う?」と問いかけてくるようにも取れる。

 いや、影の部分さえも、自身が持て余すほどにあふれ続ける熱情の発露だったのかもしれない。JBの音楽と人生を語るのに、「感動的」という言葉さえ表層的で薄っぺらな表現に聞こえてしまう。血肉を内側から揺さぶるエネルギーの根源、それこそが魂(ソウル)であることを本作は教えてくれる。(高森郁哉)

映画.com(外部リンク)

2015年5月28日 更新

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