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インサイド・ヘッド
2015年7月18日公開

インサイド・ヘッド

INSIDE OUT

942015年7月18日公開

hick

5.0

見透かされてるような世界観。親の愛が溢れ出した作品

【ヨロコビの魅力の無さ】 出しゃばる、他者を支配しようとする、自分が主役感。まったくヨロコビに魅力を感じない。しかし、"ヨロコビ"しか感じない人に魅力が無いのと同じ。彼女の傲慢さも、私自身たちが"ヨロコビ"を最優先にしているからかもしれない。 劇中、彼女はカナシミに有無を言わさず強制的にコントロールしようとする。それは私たちが何か落ち込む事があると、強制的に前向きになろうとする姿勢そのもの。ヨロコビの魅力の無さにめちゃくちゃ説得力があった。主役の魅力を意図的に落とすなんてかなりの賭け。 【カナシミの魅力】 彼女が深い。カナシミが居ないと人の痛みが分からない。カナシミがいる事で人の痛みに寄り添える。人を励まし、結果的にヨロコビに変えられる存在。カナシミが主導権を握る事によって、クライマックスのライリーのようにちゃんと現実と向き合おうとする要因にもなる。すごい原動力。劇中、心の温かいお母さんの頭の中はカナシミがリーダーなのも納得だった。 【素晴らしい世界観】 感情が思い出を作り、それを貯蔵する事で性格の島が作られていく。かなり秀逸な設定。夢の制作スタジオと潜在意識の谷が隣同士なのも説得力がある。そのほか、ガムのCM、思い出を単純化する部屋、などなど設定が「意識はしていなかったが自分の中にもある死角」を突いてくるのですごい。人間なら誰でも共感できるような世界観。 その中でビンボンが切ない。自分にもそんな存在がいて、間接的に助けられていたのかもしれない。また、最後のヨロコビとカナシミが手を合わせた瞬間のライリーの安堵した顔。2人が同時に力を発揮するとこんな表情になるのかと感動した。素晴らしい。 【監督の愛】 ピート・ドクター監督は自分の娘から発想を得て今作を作ったらしいが、全編にわたって娘に対する熱い愛で溢れていた。どれだけ娘を深く思い観察してたんだと思わされる。半ば、「娘には喜びで満ち溢れていて欲しい」と願う監督の気持ちがヨロコビに投影させていた気もして、ヨロコビ自体が親のようにも監督自身のようにも見えた。なんか、「自分はいつも一緒にいれる訳じゃないけど、いつでも応援してるよ」とでも言ってるかのような監督の繊細な思いを(勝手に)想像して更に泣ける。 【総括】 今作は誰にとっても身近なテーマであり、それまで意識すらしていなかった当たり前の物を視覚化した世界観が魅力的だった。その世界観を作るための設定も説得力がある。まるで自分の事も見透かされてるような気がして怖くも感じるほど。そして何より、子を思う親の愛が溢れた温かい作品だった。

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