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家族はつらいよ (2016)

監督
山田洋次
  • みたいムービー 346
  • みたログ 1,645

3.49 / 評価:1,237件

娯楽映画の傑作!

  • twi***** さん
  • 2016年3月15日 16時43分
  • 閲覧数 2264
  • 役立ち度 11
    • 総合評価
    • ★★★★★

家を出て一緒に住む部屋を見に行こうと言う庄太( 妻夫木聡)に「なんで私が行くの?」と憲子(蒼井優)。
庄太は「君と結婚するからに決まってるだろう。そんなこと言わなくても分かってるはず」と思っているらしい。
でも憲子は「言葉にしなければ分からない」というか「言葉で聞かないと安心できない」のだ。
だから改めてのプロポーズに憲子は素直に「うれしい」と喜んだのである。
このときの憲子は夜勤明けの引継ぎ時の冷静で仕事に厳しい姿と対照的で実に可愛いらしかった。蒼井優は今回もキーパーソンで,いい役だ。

そして憲子の両親の離婚との対比がうまい家族会議
これが伏線となって「言葉にしなければ分からない」という流れになっていく。「言わんでも分かるはず」という周造の思い込みが誤りであることをそれとなく気付かせる憲子。
冨子の希望通りに離婚届に判を押した後,周造の「お前と結婚して良かった」の一言で一瞬で氷解してしまう冨子の離婚への決意。
この一連の流れの中で家族のありようとそのバランスを微妙にとる不協和音の関係が語られていく。

「母と暮らせば」「小さいおうち」「母べえ」と渾身の作品が続いたけど山田監督はホントはずっと喜劇を作りたかったんだな。(寅さんシリーズ終了後も釣りバカ日誌シリーズにはずっと脚本で関わってきていた)
寅さんオマージュの小ネタがたっぷりまぶしてある。
なつかしの階段ズッコケもあったし,「なんだか落語家みたいな当直医」とか前フリしといてまさかのディア・ドクター登場!(落語家みたいな長女の夫とかもいたけど。)

「東京家族」のポスター(カルチャースクールの創作教室)やら「男はつらいよ」のポスター(探偵事務所ビル)とテーマソング(うなぎ屋の出前持ち)やらで盛り上げて最後はテレビで放映される「東京物語」をうまく使ったエンディングで原節子と笠智衆まで登場させるサービスぶり。

「東京家族と同じキャストを使ったことの意味がわからない」とかいうコメントを見たが,自分はそうは思わない。同じキャストを起用したこと自体がコメディの仕掛けなのだと思う。だいたい「家族はつらいよ」というタイトルからしてコメディなんだ。

平山家→平田家としてあるが,周吉→周造, 幸一→幸之助,文子→史枝,昌次→庄太である。でもなぜかとみ子→富子なんだね。
そして二男の恋人は同じ「マミヤノリコ」。「どんな字を書くの?」と冨子に質問までさせて「憲法の憲」と観客に解説してくれる。(東京家族では間宮紀子である。)
長女も字は違うが同じカネイシゲコだ。(金井成子→金井滋子)
沼田(小林稔侍)やかよ(風吹ジュン)も同一役名で召集。二男(丸山歩夢)も同一キャストだ。

「東京家族」は小津監督のオリジナル作品を意識しすぎて彼本来の味を抑えていたこともあり,今度は彼独自の世界観で取り組みたいという思いからあのキャストをそのまま使って彼のカラーである「家族をテーマにした娯楽作品」を見せたかったんだと思う。

「R50にしろ」とかいうコメントも見たが,そんなこと別にどーでもいいことだ。
50代は映画館になど行くなとでもいうのか。お笑いだ。
確かに館内に寅さん世代は多かったけどこの世代が映画館に進んで足を運ぶような作品が近年あっただろうか。

山田監督はやっぱり映画は娯楽だと思っているに違いない。近頃は映画にこざかしい理屈を持ち込んで映画通をきどるやからが多すぎる。これはそういう連中への山田監督からのあてつけのようにも見える。

コミック原作の映画化やお子様アニメ映画が全盛の今の日本でまともな娯楽映画を作れるのはやっぱ山田監督以外いないということを改めて認識した。

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