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虐殺器官 (2017)

GENOCIDAL ORGAN

監督
村瀬修功
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  • みたログ 984

3.60 / 評価:821件

難解な物語とガジェットの緻密さに唸る。

  • ota***** さん
  • 2017年2月14日 20時05分
  • 閲覧数 829
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

34歳の若さでこの世を去ったSF作家・伊藤計劃さんのデビュー作にして最高傑作との呼び声が高い『虐殺器官』が制作会社の倒産という困難を乗り越え遂に完成し、当初の予定から1年4ヵ月遅れでようやく劇場公開されました。

個人情報を徹底管理することで平和を享受する先進国と、それに反比例して暴力が渦巻く途上国。
物語は米国特殊部隊に所属する主人公クラヴィスが「虐殺の王」と呼ばれる謎の人物ジョン・ポールを追う追跡劇であり、その過程で人間の脳に秘められた特性と現代社会の矛盾に鋭く切り込んでいきます。

陳腐な表現ですが映像は「実写さながらのクオリティ」に仕上がっており、アニメ的な誇張表現を抜きにした演出は沖浦啓之監督の『人狼 JIN-ROH』を彷彿とさせる。
『ウィッチハンターロビン』『エルゴプラクシー』とスタイリッシュな作風に定評のある村瀬修功監督のセンスも随所で光っており、SFガジェットの緻密なデザインやその機能性などはフィクションである事を忘れさせるほどの説得力があって本当に素晴らしい。

情報量がとにかく多いので気を抜くと「あっ」という間に置いて行かれますが、伊藤計劃さんがファンを公言していた小島秀夫監督作品(特に『MGSシリーズ』)や『攻殻S.A.C.』『サイコパス』といったタイトルが好きであれば、むしろこの難解さが心地よく感じられるでしょう。

中の人的に槙島聖護と馬締光也の顔がチラつくジョン・ポールの意外な真意と、脳に秘められた虐殺を促す機能の正体。
そして痛覚を遮断し感情を抑制する事で人間性が希薄になったクラヴィスが直面する、欺瞞に満ちた監視社会の真実。
全てを救う事は出来ない、では2つの世界のどちらを守るのか?。

現代社会の終わりと新たな世界の幕開けを告げるラストは直接的な描写こそないものの、きちんと物語を追っていればクラヴィスの出した結論を読み取る事が出来るでしょう。
聞けば『虐殺器官』の後に執筆された『ハーモニー』は本作のその後の世界が舞台になっているとの事で、そう言われると色々な部分に合点がいきました。

ちなみに本作はハリウッドでの実写化が発表されており、現時点では『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督がメガホンをとる予定との事ですが、アメリカ軍人が子供(少年・少女兵)の頭を吹き飛ばしたり、カタストロフを引き起こすなど、どこまで原作通りに出来るか不安で仕方ありません。
その部分を誤魔化したり改変したら本作のメッセージ性は薄れてしまうので、やるなら最低限このアニメ版くらい逃げずに描いて欲しいものです。
(まぁ『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ですら、ああなったから無理だと思うけど…)

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
  • 知的
  • 絶望的
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