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ハーモニー
2015年11月13日公開

ハーモニー

PG121202015年11月13日公開

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3.0

落とした財布のお話

上映当時は賛否が大きく分かれていたようです。 セリフが難しいうえに長い。作画がのっぺりしていて地味であまり魅力がない。 主人公が特に大した行動をしないのに自動的に説明するためだけに物語が動いていく(初対面の挨拶を交わしたばかりのキャラが次に会った時には速攻で裏切ってきたのはかなりヒドイと思った) 映画に向いていなかったというより、映画「館」に向いていなかったといえます。 難しくて長いセリフは呑み込めるまで何度も巻き戻して聞き直す。 眼に表示されるインターフェイスの画面のシーンでの文字を一時停止で確認してみて、いかに善意が過剰に押し付けられる社会であるかを理解する。 この映画はそういう楽しみ方でいいんだと思います。 映画館は巻き戻しも一時停止も出来ませんからね(笑) 録画しよう、DVDを買おう!原作小説を読もう! 作画での見どころが無いのも致し方ないことなのかもしれません。 原作未読ならば内容を理解するためにセリフからの情報に全神経を集中せねばならず画面に注目している暇など無く(ご丁寧に「サウンドオンリー」と表示される場面まであるのだ) 明かされた謎の真相とラストの展開が単純な良い・悪いの領域を越えた、物凄く哀しくてモヤモヤしてつらい気分になってしまうものなのでやはり最後まで画面なんて頭に入らなくなってしまう。 もし仮に画面にも気合を入れて作画・演出まで情報量が多い作品だったら観る者の脳みそが受け止めきれずパンクしていたことでしょう。 難しくて長いセリフがあるアニメと聞けば真っ先に思い浮かぶ押井守も、セリフを聞かせる時には画面は平凡にして逆に「どや!この凄い作画を見よ!!」というときにはセリフをかぶせないようにして画面に集中できるようにしているのです。 「ハーモニー」の場合は2時間内だとしゃべり通してテーマと主人公の心情を伝えるだけで精一杯であり、作画や物語の展開で起伏をつくる余裕はとても無かったようです。 製作上のトラブルの影響もあったようですが、今のところ我々視聴者側がそれを知る術はありません。 内容を既に把握済みの原作ファンならばどう映像化されるかのことに期待するのは当然のことであり、貧相な画面に失望する声は至極当然のことでしょう。 なるべく多くの人に見てもらうようにするって難しいことだよね・・。 でも到底大勢の人の共感を呼べるとは思えない物語です。 思春期真っ盛りの中高生が観たらいろんな意味でとんでもなく引きずる可能性があります。PG12指定も納得(笑) グロイ出血シーンも確かにあるのだけれど、人間が生きていくことへの価値感・倫理観を揺さぶってくるのがヤバいのです。 真に受けすぎると物凄くシンドイです。 あくまで極端な社会と規律に縛られ打破すべく極端な行動をしてしまった人間たちの物語なのだと肝に銘じておきましょう。 冒頭の「我々はほどほどということを知っている」という言葉で既に結論は提示されているのです。何事もほどほどが一番! それに対する返答は極端すぎて共感できませんでしたが、極端な善意の押し付けは危険なのではという問いかけ自体は同意できます。 善意を押し付けてきてそれを拒否されると怒る人たちのめんどくささは最近実際目にすることが多くなって実感があります。 そういった善意の押し付けにウンザリしている人たちも多くなり反動が起きて極端なことばかり言うトランプ氏が大統領になってしまうわけです。 私事ですが、この映画を観終わった直後に落とした財布を預かっていると駅から電話があってビックリしたと同時にラストへのモヤモヤも晴れました(笑) 拾って届けてくれた人、ありがとう。 善意とは自分からねだるのではなく過剰に与えられるのではなく、ふとした時に不意にささやかな形でもらうからこそ尊いのです。 ほどほどな善意を大切にして生きていこうと改めて私は決意するのでした。 ・・なんの話してたんだっけ? そうそう、この映画における極端な生命主義社会が生まれた理由となった「大災禍」が起きた原因が今週から公開の「虐殺器官」でわかるらしいですよ。 商売上手だなぁ(笑)

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