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ギャラクシー街道 (2015)

監督
三谷幸喜
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2.02 / 評価:4,287件

本作の不満点といくつかの改善案

  • grs***** さん
  • 2015年10月25日 5時49分
  • 閲覧数 46036
  • 役立ち度 187
    • 総合評価
    • ★★★★★

前々作「素敵な金縛り」前作「清洲会議」とキャリアを追うごとに作品が不出来になる三谷作品。そのため本作の期待値はあまり高くありませんでした。
しかし、かつて某映画雑誌の中で三谷監督は好きな映画の一本として傑作「ギャラクシークエスト」を上げており、本作のタイトルの「ギャラクシー街道」の「街道」はこれまた傑作「銀河ヒッチハイクガイド」の「ガイド」から来ているとのこと。つまり、三谷監督はこれらの傑作SFコメディを観ているのです。
こういったSFコメディのエッセンスを抽出したのなら、良作の可能性もあるかもしれないと思い鑑賞しました。
しかしSF映画のエッセンスとして残っていたのは、「バーバレラ」の中途半端なオマージュ程度でした。


本作の不満点及び、僭越ながらいくつかの改善案を考えたので記していきます。かなりネタバレしますのでご注意下さい。(異星人の名前をほとんど覚えていないので役者名で書いていきます)

・まず本作の大きな欠点は群像劇として上手くない点だと思います。普通の群像劇ならば、それぞれ異なる悩みや秘密をもった登場人物たちが出てくるものですが、本作は登場人物のほとんど(店長と元劇団員、地球人と娼婦、店長の妻と不倫?相手、警備隊の男女の計4組)が痴情のもつれや性愛ですったもんだするので、それぞれの悩みにバラエティがほとんどないのです。この場合は、恋愛で悩むのは2組までにし、その2組を対比的に描くのが良いと思います。

・次にSF映画としての問題が、異星人たちの特性や能力がストーリーにほとんど寄与していない点です。例えば大竹しのぶ星人が発狂し店を停電させる場面。3回も停電させておきながら、ストーリーの推進力にはほとんどなっていないのです(唯一展開に絡むのはブレーカーを上げにいった香取慎吾が遠藤憲一を見つける程度)。西川貴教星人も小栗旬星人も本作では何の役にも立っていません。

・本作の終盤で明らかになる「楽しい思い出を具現化できる」という設定。これはいただけませんでした。惑星ソラリスオマージュだとしても全然上手くありません。『SF=何でもあり』ではないと思いますよと、三谷監督に伝えたいです。百歩譲ってこの展開を有りにするなら、この映画のラストは大竹しのぶ星人がハンバーガーショップが繁盛していた頃の楽しい記憶を思い出し、店に活気が戻るというオチにすればいいと思います。そうすることで、本作で何の役にも立たなかった彼女の存在意義が生まれるのではないでしょうか。

・遠藤憲一の出産シーンで、体の水分量が少ない彼のために昆布を具現化し使うという展開があるのですが、おそらく観客の多くが「近くにビチョビチョの西川貴教星人がいるじゃん」と思ったのではないでしょうか。西川貴教星人の水分が出産の助けになれば、彼を邪険に扱っていた香取慎吾店長の考えが変わるというドラマが生まれたと思います。

・小栗旬星人の処理の仕方も気に入りませんでした。三谷監督はSF映画だけでなく特撮ヒーローものまで冒涜しています。遠藤憲一の産んだ卵が宇宙空間に転がっていく場面。小栗旬星人(キャプテンソックス)が卵を拾いに行くのですが失敗、その後、彼は映画からフェードアウトします。仕事も彼女も失った彼のオチとしてはひどすぎます。このシーンは、香取慎吾店長が卵を掴むものの酸素が不足するなどの理由で意識をなくし、そこに現れたキャプテンソックスが店長をショップ内に帰してあげる。といったキャプテンソックスの人命救助シーンを加えることで、仕事も彼女も失った彼に人助けというアイデンティティを与えることが出来るのではないでしょうか。(「こんな時にキャプテンソックスがいれば…」というセリフも唐突すぎてすごく不自然)

・その他細かい不満点としては、未来の設定なのに人工知能やロボットがほとんど出てこない点。
エンドロールでいろんな星人の顔写真が出てくるけど、顔が異なるだけで首から下はだいたい人型で異星人の多様性が感じられない点。
安易な下ネタで笑いをとろうとしている点。
宇宙国土交通省の役人が、ギャラクシー街道の廃道を取り止めた理由が接待されたからにしか見えず嫌な感じがする点。などが挙げられます。


一応フォローもしておきます。
劇場で笑いが起きた数少ないシーンの一つが、遠藤憲一の子供たちがズラリと並ぶシーンでした。異星人から異形の子供たちが産まれるというネタは、最近見た「ピクセル」でもやっていましたが、あの遠藤憲一の顔が沢山あると笑えるというより一種のホラー感があって面白かったです。

以上

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