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グローリー/明日への行進 (2014)

SELMA

監督
エヴァ・デュヴァネイ
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3.81 / 評価:387件

解説

アメリカ公民権運動が盛り上がりを見せる中、アラバマ州セルマで起きた血の日曜日事件を題材に描く感動作。ノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング・Jr.のリーダーシップでデモに集まった人々が警官の投入によって鎮圧されたのをきっかけに、世論が大きく動いていくさまを描く。俳優のブラッド・ピットや人気トーク番組で有名なオプラ・ウィンフリーらが製作を担当。史実を基に描かれる、激動の近代史に心動かされる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1965年3月7日、マーティン・ルーサー・キング・Jr.の呼び掛けにより集まった、黒人の有権者登録妨害に抗議するおよそ600名がアラバマ州セルマを出発。だが、デモ行進がいくらも進まないうちに、白人知事は警官隊を動員して彼らを暴力で制圧する。その映像が「血の日曜日」としてアメリカ中に流れたことにより抗議デモはさらに激しさを増し、やがて世界を動かすことになる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2014 Pathe Productions Limited. All rights reserved.
(C)2014 Pathe Productions Limited. All rights reserved.

「グローリー 明日への行進」ドキュメンタリーのような迫真性と共に描かれる、キング牧師の〈言葉の力〉

 アメリカ現代史において、公民権運動を推進し、1964年ノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング牧師は、ある意味ではジョン・F・ケネディよりもはるかに重要な存在であるが、これまでその生涯が一度も映画化されなかったのは、ちょっと意外な気がする。一方で、〈人種差別〉というアメリカが建国以来抱えるスティグマに真っ向から対峙したこの稀有な人物を描くことは、アメリカ自身の恥部を凝視するような骨太の覚悟を強いられ、長い間、タブー視されてきたことも一面の真実ではある。今回、白羽の矢が立ったインディーズの黒人女性監督エバ・デュバーネイは、自らのアイデンティティを賭して、この困難な主題に果敢に挑んでいる。

 映画は、ありきたりな偉人伝に特有の年代記風の語り口を避け、1963年にバーギンガムで起こった教会爆破事件から65年8月の投票権法成立までの時代に限定し、キング牧師(デビッド・オイェロウォ)の苦悩と葛藤を浮き彫りにしていく。セルマ(映画の原題)という町で起こった選挙権を求めてデモ行進する群衆を、警官隊が警棒でめった打ちにし、催涙ガスや高圧ホースで水を容赦なく浴びせかける光景などは酸鼻をきわめる。本作では実際に悲劇的な事件が起きたアラバマでほぼ撮影されており、そのざらついた荒涼たる映像は当時のドキュメンタリーを見ているような迫真性が感じられる。

 愚鈍な差別主義者であるアラバマ州知事ジョージ・ウォレス(ティム・ロス)や狡猾な南部人たるリンドン・B・ジョンソン大統領(トム・ウィルキンソン)と堂々と渡り合う局面において際立つのはキング牧師の〈言葉の力〉である。時おり、私的生活での人間的な脆さをスケッチしながらも、あまねく聴く者の肺腑(はいふ)をつく、キング牧師の言葉の異様なリアリティこそ、この映画がとらえようとしたものにほかならない。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2015年6月11日 更新

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