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沖縄 うりずんの雨 (2015)

監督
ジャン・ユンカーマン
  • みたいムービー 21
  • みたログ 39

4.16 / 評価:31件

県民の心情を理解するための基礎知識

  • mai******** さん
  • 2015年8月15日 19時20分
  • 閲覧数 1042
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

『ミッション・インポッシブル/ローグネイション』のようなスリリングさはない。
『ミニオンズ』のようなコミカルさもない。
『HERO』のような痛快さもない。

だから見る人は限られてしまうんだろうけれど
だからこそ、日本中の人が見るべき作品だと思いました。
日本史が好き、というレベルでは到底たどり着くことのできない
圧倒的な内容で、その重さ、哀しさ、苦悩葛藤に心が痛くなる。

地上戦が行われた沖縄。
集団自決
ひめゆり学徒隊
対馬丸
かろうじて知っているはずの事ですら、吹き飛ぶくらいの話が展開します。
沖縄の市民の語りだけの範囲ではなく
対馬丸に乗って沖縄戦に配属された元兵士の語りや
大田元沖縄県知事までもが自身の戦争経験を語っていて
逆に地上軍として攻め込むことになった米軍の元兵士の語りまである。

彼ら自身が体験していた現実というものがどんなものだったのかを
日米両方の視点で考えさせてくれる内容です。

また、この語りにプラスされて、当時の米軍の従軍写真や従軍映像が
映し出されていきます。
白黒の写真や、カラーの映像まで、実際の映像記録というものが
これほどまでに残されているのかと驚かされもします。
これは監督であるジャン・ユンカーマン氏がアメリカ人であることも
貢献してるのかなと考えます。

そこに映し出されている、上陸した米軍兵士たちのどれほどが
生きて祖国の地を踏みしめる事が出来たのでしょうか?
そこに映し出されている、戦死した日本人たちの姿に
沖縄の人だったのだろうか、それとも別の土地の人だったのだろうかと
もしこの作品を見る機会を得た人の中に、ご遺族がいたらどれほどの思いを抱かれるだろうかと、想像しきれない想像をしてしまいます。

作品がここで終わるのではなく
米軍占領下での沖縄の様子から、どれだけの出来事があり
それがどれだけ隠蔽されてきたのか?
どれだけ自分勝手に処理されてきたのかも描かれています。
これは…
米軍占領下の沖縄というのは
非暴力でキング牧師が、力による抵抗でマルコムXが成し遂げようとした
人種差別撤廃運動に通じるような、差別が巻き起こっていたことを教えてくれます。
沖縄に派遣される兵士に教えられる事として耳に残ったのは…
『沖縄には兵士1人に対して約1人の売春婦がいる』という兵士の言葉。
そして
新宿にある『女たちの戦争と平和資料館』に貼り出されている
“表面化した”沖縄でのレイプ事件の数々に絶句。
沖縄は米軍にとって戦利品であり
そこに暮らす沖縄の女性もまた米軍には戦利品
いつ何時”おもちゃ”にしても良い存在であったということを見せつけてくれます。
1995年の海兵隊3人による少女暴行事件の報道がなされるまで
アメリカ国内で、このような事が日常茶飯事であったことを知る人がいなかったという事にも驚かされます。
大戦中、“鬼畜米英”と叫ばれていたことが、占領下の沖縄市民にとって
その身を削られるような悔しさと共に植えつけられていった事がわかります。
また同時に
米軍内での男性兵士による女性兵士のレイプ事件に関することまでもを網羅。
兵士の倫理観をも問う内容になっていますし
上記暴行事件に関わった一人の兵士のインタビューまでもが映像に収められています。
一人はインタビューを拒否し
また一人はアメリカ国内で再びレイプ事件を起こしているとか…


日本への返還運動
そして基地の撤廃運動
今現在行われている普天間基地返還問題と辺野古への基地移転問題。

過去を知ることで、今を知ることができる。
今の沖縄の人々の思いの根底に何があるのかを知ることができる。
ネット上で軽々しく『売国奴』だとか『親中国』だとか言う前に
この作品を見て欲しいものです。

沖縄の人々がなぜ基地を嫌がっているのか?

その理由は、過去を知ることで自ずとわかるかと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 知的
  • 切ない
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