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黒衣の刺客 (2015)

聶隱娘/THE ASSASSINS

監督
ホウ・シャオシェン
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3.02 / 評価:199件

解説

『悲情城市』『戯夢人生』などで知られる名匠ホウ・シャオシェン監督によるアクション時代劇。唐代の中国を舞台に、暗殺者として育て上げられた女刺客の悲しい宿命が描かれる。運命に翻弄(ほんろう)される女刺客を『トランスポーター』などで国際的に活躍するスー・チーが熱演し、『百年恋歌』でもホウ・シャオシェンとタッグを組んだチャン・チェン監督が共演。さらに、日本から妻夫木聡が参加している。

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あらすじ

唐代の中国、何者かに誘拐された隱娘(スー・チー)が13年ぶりに両親のもとに戻ってくるが、隱娘は道姑により非情な暗殺者として育てられていた。彼女の標的は、以前の婚約者で現在は暴君となっている田委安(チャン・チェン)だった。そんな中、隱娘は任務中にピンチを迎えるも、難破した遣唐使船の日本人青年(妻夫木聡)に救われ……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015光點影業股イ分有限公司 銀都機構有限公司 中影國際股イ分有限公司
(C)2015光點影業股イ分有限公司 銀都機構有限公司 中影國際股イ分有限公司

「黒衣の刺客」ひたひたと目に、胸にホウ映画が流れ込む快感に酔おう

 フランスで撮った「レッド・バルーン」以来、8年ぶりの新作でホウ・シャオシェンは子供の頃から親しんだという武侠ジャンルへの挑戦を、どこまでも彼の世界で完遂してみせる。

 正直いっていきなりモノクロの画面にロバが映った時には武侠映画???と、あっけにとられた。が、そこに吹く風、さやさやとしたその感触を活劇以上の活劇として断固、全編に漲らせる監督の剛毅に見惚れるうちに、静寂がナチュラル・ハイのように心身に染みわたるホウ映画の桃源郷にしっくりと巻き込まれ、悠久の時の流れの中に身を浸し映画と共にいつまでも、どこまでも漂い続けていたいと熱望せずにはいられなくなった。

 確かにここでは屋根から屋根へ脚をばたつかせつつ宙を駆けるような、おなじみのワイヤー・アクションは最低限に抑えられている。波瀾万丈の物語も豊饒な台詞も見当たらない。説明過剰の親切すぎるプロットに慣れた目には唐の時代、辺境を守る豪族をめぐる人間関係がもうひとつ曖昧模糊と見えるもしれない。それでも、暴君暗殺の密命を受けたかつての許嫁、今は黒衣に身を包む殺しのプロに仕立て上げられたヒロインの逡巡に渦巻く情の濃やかさは見逃し難く迫ってくる。

 幾重にも張りめぐらされた薄絹の向こう、ろうそくの炎のゆらめきと影と融けて佇む刺客は密やかな官能の物語を差し出さずにはいない。あるいは急峻な山肌を這いあがる霞、白樺の林、手つかずのままの自然を切り取る大きな引きの画に満ちて震える時間。今へと続く歴史の感覚――。ひたひたと目に、胸にホウ映画が流れ込む快感に酔おう。(川口敦子)

映画.com(外部リンク)

2015年9月10日 更新

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