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みかんの丘 (2013)

MANDARIINID/TANGERINES

監督
ザザ・ウルシャゼ
  • みたいムービー 55
  • みたログ 198

4.24 / 評価:154件

死人にくちなし・・

  • chi***** さん
  • 2020年10月31日 1時29分
  • 閲覧数 248
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

アハメドは味方に攻撃され、
イヴォの息子も、味方に殺されていた。という話だと思いました。

イヴォが、「息子はジョージア人に殺された」と言っているので
ジョージア人に殺されたことは間違いない。
また、「自分たちの土地を守るために義勇兵に志願した」とも言っているので
ジョージア人は味方であるはずです。(現勢力が勝てば、現状維持なので。)
味方に殺されたことになるのです。

とても意外なはずですが、アハメドは1発で言い当てます。

アハメドも、その直前に、「味方に」攻撃されています。
海外のwikiによれば、グルシア(ジョージア)人と間違われたために
ロシア陸軍(チェチェン人、独立軍の味方)に誤射された。とありました。
アハメドはチェチェン人なので、チェチェン語が話せないはずはありません。
話していたら、味方なのだから、発砲されなかった「はず」です。

本当に発砲、されなかったのでしょうか?

最序盤に、アハメドが食料を奪います。
高圧的で横柄に見えましたが、「俺たちのような善人は少ない」と
警告までして立ち去ります。 皮肉か逆説かと思っていましたが・・
その後、イヴォは怪我をしたアハメドを救います。
初対面なら怪我人を放置できませんが、悪人だと思っていれば助けません。

イヴォがアハメドを善人と思っている箇所は他にもあります。
回復したアハメドが、敵兵のニカを殺そうとするので、
自分の家の中では殺させないと、毅然に言い、
恩があるので殺さないと約束させますが、
マルゴスは心配し、別々の家で介抱することをイヴォに提案しますが
「約束する価値がある人間もいる」と言わせています。

中盤、アブハジア軍(ニカの敵)が来るが
頭の怪我で言葉が話せないことにして、ごまかすことに成功します。
これは、外見では、敵か味方か判断できないということです。

終盤に戻って、
ロシア陸軍が来て、アハメドに味方だと言うなら
チェチェン語を話して証明してみせろと言います。
チェチェン人だとイヴォに言っていたので
話せないはずがありませんが、険悪な空気になります。
その際、マルゴスが、上官と顔見知りだと、助け船を出しますが
無視し、マルゴスごと発砲し殺害します。

アハメドが、チェチェン語を話していたら、本当に助かっていたのか?

死人にくちなし。
死体になってしまえば、話せないので、敵か味方か区別がつきません。
そもそも内乱の中、このロシア軍人が誰を何人、殺したのか
逐一、特定されないのではないかと思うのです。

アハメドが言っていた、気を付けるべき悪人とは、こういう人間、
因縁をつけ、敵味方関係なく殺害し、金品を強奪している奴ら
なのではないのか?

そういうことが横行していることを知っていたから、
一発で、息子が「味方に」殺されたと言い当てることができたのでは?と。

*****

勿論、アハメドが家族の下に帰って行ったのは
エンドロールの歌(ニカのお気に入り)の歌詞からも
明示されているので、救いはあります。

マルゴスとニカは、一瞬で命を奪われるので、
戦争の恐ろしさや理不尽さも感じます。

しかし、この映画の描きたい闇はもっと深い所にあるのでは?
正義や、大義名分などは、どうとでも歪められる。
それを悪用する政府(悪人)を非難しているのでは?と。

敵同士でも、数日、同じ釜の飯を食いさえすれば
心を通じ合わせ、戦争は悪いことだと改心できるものだ。
というような綺麗なお話ではなく

一生懸命に殺そうとしていた相手に、命を救われ、
味方と思っていた相手に、恐らくは味方と気づいていながら、
殺されかけて、バカバカしくなった。
そういう悪人がいることは頭で理解していても、
自分がされてショックを受けた。
という話なのではなかろうか、と解釈したが、

矛盾があって、
そういう悪人が蔓延していると分かっていたなら、
チェチェン語を話したはずで、
反抗するような態度を取った理由が分からない。

しかし、
チェチェン語で何か言えと、ロシア陸軍人に言われたあとで
アハメドは何か言うのだが、和訳がない。
「何と言った?」と訊かれ、「チェチェン語で馬鹿野郎だ。」
と、アハメドは言っている。

チェチェン人は、ロシア語とチェチェン語を話せるらしいが、
ロシア人も、チェチェン語が話せるのが普通なのか分からない。
もし、ロシア陸軍人がチェチェン語をそもそも理解できず
アハメドが、本当にチェチェン語で話していたのなら
信憑性が高まるが、なにしろ和訳がないので分からない。
もしそうなら、馬鹿野郎(チェチェン語)と和訳しないのは
それこそ馬鹿野郎だと思うのだが・・

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