レビュー一覧に戻る
アクトレス ~女たちの舞台~
2015年10月24日公開

アクトレス ~女たちの舞台~

SILS MARIA/CLOUDS OF SILS MARIA

PG121242015年10月24日公開

UrbanDockGoer

3.0

意外と難しい

もうちょいシンプルな作品を想像していたが、意外と難しい。 奥が深そうに感じたが、正直呑み込み切れなかった。 《物語》 マリア(ジュリエット・ビノシュ)は40歳の有名女優。マネージャーのヴァレンティーヌ(クリステン・スチュワート)と共にスイスに向かっていた。作家ヴィルヘルムの偉業を讃える表彰式に彼の代理で出席するためだった。 ヴィルヘルムは彼女の出世作 映画「マローヤのヘビ」の作者であり、以来尊敬以上の感情を持っていた。 ところが、会場に到着する前にヴィルヘルムの死を知らされる。 授賞式には予定通り出席したマリアは、晩さん会の場で演出家クラウス(ラース・アイディンガー)から、「マローヤのヘビ」リメイク版の演劇への出演オファーを受ける。但し、今回の役は昔彼女が演じた若いヒロイン ジグリッドではなく、ヒロインに翻弄される40歳のヘレナだった。最初は断るマリアだったが、結局受けることとなる。 マリアは亡きヴィルヘルムが遺したアルプスの山荘でヴァレンティーヌと共に舞台の準備を始めるが、かつて20歳のジグリッドを演じた自分が中年女ヘレナを演じることの葛藤に苦しむ。 《感想》 感想を書こうと思って頭を整理しようとしても、ちょっとモヤモヤしている。 俺が感じとったのはマリアの、自分もかつてそうだったように若い女の若さゆえの女の魅力への憧れと怖れ、逆に自分が老いてゆくということに対する漠然とした怖れ。あるいは若き日の自分(女優としてのピークも若い頃にあったと思われる)と現在の自分を対比して感じる焦燥。 でも監督が観衆に投げたボールをだいぶ取り逃しているように思う。 例えば、マリアは「マローヤのヘビ」のヘレナとジグリッドに自分の現在と過去を重ねていると思われ、マリアとヴァレンティンが台詞の練習シーンの形でヘレナとジグリッドの関係の一端を示しているが、台詞の内容がてんで頭に入ってこないからその会話の意味するところが分からない(笑) マリアは若きマネージャー、ヴァレンティーヌに対しても同じような感情を抱く。ヴァレンティーヌの若い感性は、時に自分を越えていると思うのだが、それを認めたくない自分がいる。一方で、若い彼女にどうしようもなく惹かれている自分もいるが、 ヴァレンティーヌも自分の思い通りにはならない。これも、最後はマリアが気持をどう整理したか謎。  それとも整理できていないまま? また、スイスの美しい山々の景色も本作の魅力だが、そこに映し出される“マローヤのヘビ”(マーローヤは地名、ヘビはある気象条件で生じるその地域の山の谷間をうねるように流れる雲を指す)がジグリッドとヘレナの関係とどう関係するのかも理解できていない。美しく現れてはいつの間にか消えていく雲がジグリッドであり、ヴァレンティーヌなのだろうか? 役者に関して 40歳マリアを演じるジュリエット・ビノシュが、どう見ても40には見えない。「50だろう」と思って観ていたが、鑑賞後に確認するとやはり50歳だ。 特に劇中劇とは言え、20歳のジグリッドとレズ関係に陥る設定なので「無理だろう」と思ってしまった。もちろん50にしては綺麗なんだけど。 ヴァレンティーヌ役クリステン・スチュワートはマリアとの微妙な距離感を上手く演じていた。マリアを引き立てるため?にメガネをかけて容姿を抑えていたが、外すと凄くキレイ。俺としてはヒロインを食おうが、メガネを外したままにしてほしかった(笑) クロエ・グレース・モレッツは登場時間が短い割に強烈な存在感を放っている。やんちゃな格好から清楚な格好まで様々ないでたちで登場するが、それぞれにインパクトがある。最後に、普通の清楚な格好で出て来たので、「あら、チャーミング!」 やられた。 また、終盤舞台練習中にマリアに自分の意見を言い放つシーンがこれまた強烈。若さゆえの怖いもの知らずの、自信にあふれたひと言。 この演技も見事。 やっぱり大物になりそうな資質を持った女優だと思う。 ちょっと小難し系の作品ですが、見応えは有ります。

閲覧数1,037