tam********
4.0点
女優としての存在感を失いたくないアカデミー賞女優の最後の一手がこれだった。 物語は、デビュー作にして伝説の名作のリメイクに挑む名優マリア、ただし助演で。 かっての自分の当たり役を新進気鋭の若手が演じる恐怖を隠しての役作りが本シネマの大きな流れになっている。 ジュリエット・ビノシュその人の物語を想像させる、ある意味恐ろしいシネマだった。 女性としての素直さを提案する個人秘書との妥協できない争そい、 才能豊かな新人女優に魅かれながら、その圧倒的パワーに気圧され、本当の自分を見つめ直す。 本作はこの二人の才能ある女性(クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ)が強力に助演する。 そして、美しく、賢明な、愛すべき女性たちを見守るシルス・マリアの壮大な山波、流れ下ってくるマローナの蛇の妖艶。 スイスの大自然の中で女性が気高く大きく見えた。 見どころは、ビノシュのハレとケ、普通人と女優の格差だろう。 山小屋に籠っての役作りシーンは、女優の裏側をすっかりさらけ出すものだった。 役作りの過程で、自分の成熟と老化を思い知るマリア、(またはビノシュ)。 ビノシュの凄まじい役者魂が溢れていた。
閲覧数1,408