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アクトレス ~女たちの舞台~
2015年10月24日公開

アクトレス ~女たちの舞台~

SILS MARIA/CLOUDS OF SILS MARIA

PG121242015年10月24日公開

Kainage_Mondo

5.0

老いる 深まる 諦める。

『マローヤのヘビ』 の舞台版リメイクで マリア ( ジュリエット・ビノシュ 以下敬称略 ) にオファーされたのは、20年前に演じて 彼女の女優人生の幕開けとなった シグリッド の役ではなく、若いシグリッドの魅力に翻弄され命を断つことになる年配の ヘレナ の役だった。時の流れからすれば当然だが、大女優となった マリア にとっては残酷な話であり、受けるまでも受けてからも大いに葛藤する ・・・ そんな話。 ジュリエット・ビノシュ が良い。ゴージャスな装いで如何にも女優然とした姿から ノーメイクの普通のおばさんに至るまで様々な姿を曝し、秘書の ヴァレンティン ( クリステン・スチュワート ) と湖で戯れるサービス ? シーンまである。その体形。ビノシュ も老けたな~と思う反面、その女優根性に頭が下がる思いがした。どことなく説教臭くて苦手だった彼女だが、私のなかで最近どんどん好感度が増している。 秘書に扮した クリステン・スチュワート は本当にもう~見直した。トワイライトシリーズ とか 12年「スノーホワイト」の戦う白雪姫くらいしか知らなかったが、本作では見事に “女優” をしていたね。 シルス・マリア というスイスの山岳地帯が主な舞台だが、山々や湖水の景色が実に美しく バロック音楽の数々とともに 包み込まれ癒される体験ができた。100年前の山岳フィルムの体で マローヤのヘビ = 谷あいを流れてゆく雲 ( 天気が崩れる予兆だと言われている ) の様子を見せて終盤の伏線としたり、新進女優ジョアン ( クロエ・グレース・モリッツ ) の出演作としてキッチュな S F 映画のワンシーンを挿んだり、演出もなかなか芸が細かかった。映画を観ながら同時に舞台劇も観たような感覚に陥るという お得感もあったかな。 ・・・ 歳を喰って失うもの、若い連中にどうしたって敵わないもの、それは確かにある。それでは歳を喰って得るものは何か ? それが問題なのだね~ ( 笑 ) ジョアン に懸命の提案をバッサリ斬り捨てられ、それを受け入れる マリア の表情が絶妙だった。より深い思索を。そして更に押し寄せる老いには静かな諦めを。そんなところだろうか ・・・

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